vol.43 タバコがやめられない脳のしくみ | 株式会社マインドフルヘルス
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2020.08.06 メルマガバックナンバー vol.43 タバコがやめられない脳のしくみ

2020.3.25配信
 

 日本の受動喫煙対策は最低レベル

2020年4月1日から改正健康増進法が施行されるため、現在多くの施設が喫煙所の変更を行っています。
国を挙げてこのような受動喫煙をなくす取り組みに力が入っているのは、オリンピック開催に向けて、各国から日本の禁煙プロモーションは最低レベルであることを指摘され、改善を求められたからです。
私が米国に留学していた2006年頃、アメリカの飲食店ははすでに全面禁煙でした。当時でも屋内の喫煙ルームは見た記憶がありません。日本は今やっと禁煙プロモーションが強制的に動き出したと言えます。これを機会にタバコのない世界に向けて一気に前進し、禁煙でハッピーになる人が増えるといいなと思っています。

喫煙は習慣ではなく、ニコチン依存症

タバコは嗜好品ではなく、依存性商品と言えます。
「好きでタバコを吸っている」「その気になればいつでもやめられる」という人も依存であることは間違いありません。香りや使用感が全く同じでもニコチンを含まないものでは満足できないことがその証拠です。
ニコチンが急速に吸収されるようにアンモニウム化合物で加工し、依存性を高めているのがタバコです。葉っぱを紙で巻いただけではありません。
依存度の高さにおいて、ニコチンは最高レベルです。使用した人が依存になる確率は、ニコチン32%、ヘロイン23%、コカイン17%、アルコール15%と報告されています。

禁煙できない脳の仕組みは、肥満と同じ

ドーパミンというやる気や快楽をもたらすホルモンがあります。甘いものなどを食べると幸せな感覚を覚えますが、これは脳の報酬系システムが働いてドパミンが放出されるからです。
喫煙も同じ報酬系システムに働いていて、ニコチンはドパミンを放出させるスイッチである受容体にくっつき、過剰にドパミンを放出させます。
「HALT」と呼ばれる4つのトリガーがあります。
H:HUNGRY(空腹)
A:ANGRY(怒り)
L:LONELY(寂しさ)
T:TRIED(疲労)
これらの頭文字をとったものです。アルコール依存や薬物依存でよく用いられる言葉ですが、喫煙も食べ過ぎもこれらが報酬系システムを動かすトリガーとなるので、まさに同じです。

タバコは日々のストレスを増加させている

毎日スイッチを押し続けていると、ちょっとの刺激ではドパミンが出ない状態になります。ドパミンが不足する状態とは、病気でいうとパーキンソン病です。手が震え、表情が乏しくなり、自律神経の働きも弱まり、意欲も低下しがちになります。そして、ニコチンが切れた時の典型的な症状の一つに、「不安」があります。
ニコチンが切れると不安、イライラ、体調不良の状態になりストレスを感じるので、タバコを吸って補充します。ニコチンを補充すると数秒でホッとする感覚を味わい、「ストレスが軽くなった!」と感じます。

ストレスをタバコが軽くしているのではなく、タバコを吸っているせいでニコチンが切れてくるので、その度にストレスを感じるだけです。タバコを吸わない人はそもそもドパミンがそこまで枯渇しないので、補充する必要もありません。吸っている人は、吸わない人よりも不安やストレスを感じやすい状態と言えます。
タバコを吸っている人は、吸う前のイライラ状態がタバコ切れのせいだとあまり自覚していないために、タバコが日常生活のストレスを癒してくれていると感じてしまう傾向があります。

ニコチンは幸せホルモンセロトニンも枯渇させる

厄介なことに、ニコチン依存では幸せホルモンのセロトニンも分泌されにくくなります。
タバコによってドパミンが過剰分泌されると、それにブレーキをかけて調和を保つためにセロトニンが分泌されます。これも毎日の喫煙による刺激で受容体の感受性が弱まってしまうのです。

まず、成功の秘訣を知ることから

どんな健康づくりも、基本は多面アプローチです。
ダイエットでは、一つの食材を摂り続けたり何かを完全に排除したりするような単一アプローチより複数を組み合わせることが最も有効であることが証明されています。
喫煙も実は同じアプローチが最も有効なのです。

1.マインドフルネス
  喫煙前後の気持ちや思考、体調を観察
  ありのままの自分を受け入れる
  トリガーに気づき、喫煙スイッチから離れる
  自分に合う方法を見つける
2.栄養
  糖質を控えめにし、前頭葉の働きを安定させる
  たんぱく質とビタミンB群で疲れを防ぎ、セロトニンを出やすくする
3.運動
  筋トレでドーパミン、有酸素運動でセロトニンを増やす
4.睡眠
  質の良い睡眠で、日中のイライラを減らす
5.ポジティブ心理学
  セロトニン分泌に役立つ行動を取り入れる
6.コミュニケーション
  自分のタイプを知り、失敗しやすいシチュエーションを知っておく
  ほめてもらう
  仲間と一緒に禁煙チャレンジする
7.習慣化
  記録する
  一回の失敗で禁煙をやめない
  3ヶ月はトリガーに近づかない
  始める1ヶ月以上前から多くの人に宣言する

依存症からの脱却には、準備が必要です。まず、脳の働きを知ってコツを押さえ、思い込みや思考のクセなどに気づいて自分にあったやり方で進めることが、成功の秘訣です。
意志の力や本人の自己流では失敗しやすいことを知って、会社ぐるみ、家族ぐるみで記念する人を応援しましょう!
禁煙は辛い修行ではなく、幸せへの扉を開くことなんです。

 
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