私たちの挑戦 CHALLENGE

ドクターAKIKOの挑戦

TEDxFukuokaLiveでの代表山下

 病院で診療していると、ストレスがたまっている事にも気付かないで頑張り続け、体調を崩してから病院に来られる方がたくさんいらっしゃいます。

 私が医者になろうと思ったのは中学生の頃です。高齢者の医療に興味を持ったのがきっかけでした。医師になってからは、高齢者に多い病気について学んでおこうという気持ちで神経内科を選びましたが、私にとって神経を理解するのは難しく周囲の医師たちに追いつくのに必死でした。毎日診療や研究を行っているうちに、いつの間にか目標は高齢者医療から神経内科を極めることに変わっていたのです。

 アメリカで2年間研究生活もしましたが、成果を残さなくてはと努力してもなかなか成果がでません。そのうちに日本での過去の失敗を思い出して悔やみ、先の人生が不安になって、気付くと私はうつ状態になっていました。 その時出会った言葉が「いまここ」でした。相田みつをさんの書に触れる機会があったのです。素晴らしい環境と仲間に支えられている今ここの自分をちっとも見ていなかったことに気付きました。しかしその時は、気づくだけで行動や考え方を変えることはできませんでした。

 日本に帰ってから結婚し子供を二人年子で出産しましたが、妊娠中は専門医試験の勉強に励んだり医学博士の取得のために奮闘したりと心落ち着かない産休育休を過ごし、長男も長女も産後8ヶ月で保育園に預け始めて職場復帰しました。 周りからの評価やプライドという縛りを自分で作り、心の声に耳を傾けないまま走り続けていました。 そんな私が、やっと立ち止まって本当の気持ちをちゃんと見つめたのは2年前のことです。あるときふと、10年後の私を想像したんです。このままで自分は幸せだろうか、家族や社会に貢献できているだろうかという疑問が湧いてきて、普段の生活に違和感を感じるようになったんです。 それからは自分を見つめる時間を取るために早朝に起きて、本を読んだり思ったことを書きだしたりすることを繰り返しました。例えば、私の強み、ワクワクすること、不安なこと、挑戦したいことなど。ひとつひとつ向き合ってみるうちに、違和感が何かに気付き本当に自分が求めるものが見えてきました。

 違和感のもとは、本来私は高齢者の医療や福祉に携わりたかったのに、いつのまにか脳神経を極める道を突き進んでいたという事実と、人々に高齢になっても自分らしく元気でいてほしいのに、生活習慣病の方々に薬を出して短時間の生活アドバイスを行うだけという、根本的な解決にならない医療を行っている現状でした。

 私が生涯かけて成し遂げたいこと、それは、人が自分らしく生涯をまっとうできるための社会を作ることです。病気をなおすより、病気にならないようにするにはどうしたらいいかを人々に伝える活動をしたいのです。 そこで神経内科の知識と経験を生かし、脳科学的アプローチから健康的な生活習慣が身につくような取り組みを行おうと決心しました。正しい医学知識を提供し、心や体にとって好ましい生活を習慣化するためのお手伝いをする事が私の真の喜びなのです。 病気になる前に正しい取り組みを始めれば、病気の苦しみを味わうリスクを最小限に抑え、高齢になるまで元気に動け、社会全体が元気になります。そして、医療費も大幅に削減できる事は間違いありません。

 医師が病院で働く事をやめて会社をつくって健康サービスを行う、という事は世間の常識とはかけ離れている事かもしれません。 しかし、今の医療制度では生活習慣を変える取り組みだけを行っても病院は成り立たないのです。一人でも多くの人がより健康的な生活習慣を手にいれる事ができれば私は医師をやめてもいい。そう思っています。

 健康的な生活を習慣化するための3ステップは、まず周りからの縛りに気付いて余計なストレスを抱えないようにする事、さらに年齢・環境・経験によって自分が変化していることを受け入れる事、そしていまここを意識して自分の感情・体調・行動を客観的にみる事。 このステップで大切なのは、丁寧に観察して気づく、そして自分が囚われているものから離れる事です。これは1回やっただけではあまり効果がありません。毎日意識的に続ける事で、習慣になるのです。一度習慣になれば、野菜やお魚たっぷりの健康的な食事や毎日の運動が、努力や我慢ではなく当たり前の心地よいものになります。 そして、こうした健康的な生活習慣は体が元気になるだけでなく、心が安定して幸せ感が増すという大きなおまけも付いてきます。 ぜひみなさんにも、はつらつとした明るい人生を手に入れてもらいたいと心から願っています。