vol.31:認知症のウソ、ホント | 株式会社マインドフルヘルス
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2020.03.19 メルマガバックナンバー vol.31:認知症のウソ、ホント

2019.9.25配信

こんにちは!山下あきこです。

「~の薬を使うと認知症になる」「~すると認知症予防になる」など、認知症にまつわる噂はたくさんありますね。実際、医学的な研究ではどの程度確かめられているのでしょうか?

今回は、認知症と身近な事柄に関する最近の論文をいくつかご紹介したいと思います。


1.〇〇系薬剤を使うと認知症になる?
オランダの高齢者3526人の調査によると、睡眠導入剤としてよく使われるベンゾジアゼピンの使用は、認知症と関連が認められなかった。使っていた人の認知症発症率は6%。使っていない人は7%だった。
Hadfi M,et al.J Am Med Dir Assoc.2019 Jul 9.

山下コメント:
睡眠薬を飲むと認知症になるというのは、あまり根拠がなかったのですね!
ただし、一部の睡眠導入剤は幻覚やせん妄をきたしやすくなるというデータもあります。また、体質やかかっている病気によっては睡眠導入剤が悪影響を及ぼすこともあります。
医師とよく相談した上で適切に使用するようにしましょう。

2.パソコンやゲームは認知症予防になる?
米国メイヨークリニックで行われた200人5年間の追跡調査。
パソコンを使用していた人は70歳以上になった時、使用していない人に比べて軽度認知機能障害(MCI)を発症した割合が48%低かった。
Krell-Roesch J,et al. Neurology.2019 Jul 10.

山下コメント:
この研究は私が米国留学時代に一緒に研究していたエチオピア出身のYonas Geda先生が行ったものです。この先生と行った研究で学位を取得しました。精神科でありながら統計学に非常に詳しい先生なので、信頼性が高いことは間違いありません。
ゲームを推奨するわけではありませんが、パソコンの使用が脳機能の維持に役立つと思うと、仕事も頑張れそうです。

3.肥満は認知症になりやすい?
米国マイアミ大学の研究。
平均64歳の男女1289人で、BMIや腹囲を測定し、約6年後に脳MRI検査を行ったところ、BMIが1単位高くなるごとに大脳皮質が0.1mmずつ薄くなることが分かった。腹囲も大きいほど脳容積の萎縮の傾向が見られた。
Caunca MR, et al. Nurology.2019 Jul 24.

山下コメント:
以前から糖尿病の患者は認知症発症率が3倍という事が知られていました。
糖尿病を発症していなくても肥満度や腹囲を改善するとリスクが下がることが証明された論文です。食事に気をつけるメリットは、今の見た目や内臓の病気の予防だけではないんですね!

4.睡眠不足が認知症のもと?
40歳以上の日本人473人を1年半追跡調査した研究では、就寝時刻や起床時刻などが認知機能に関わっていることが判明。良好な睡眠が得られている人ほど、認知機能が低下することなく維持されていた。 
Ogawa M, et al. Alzheimers Drmrnt(N Y).2019;5:347-353.

山下コメント:
睡眠負債という言葉をよく聞くようになりましたが、少し睡眠不足だからと言って翌日不調をきたすわけではなく、数年後の自分にリスクがあるということなんです。
高血圧や高血糖も同じことですが、「今調子いいから大丈夫」というのは全く的外れな言い訳です。睡眠をとるのは今でなく将来のためなのです。太く短く生きるからいいと言われる方もいますが、認知症になったらピンピンコロリという訳にもいきません。

ちゃんと寝ることで認知症予防できるなら、睡眠を優先して生活しませんか?

 

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