2018.6.13配信
こんにちは、山下あきこです。
今回は「健康的な食事は、脳の萎縮を防ぐ」という今年5月の最新論文をご紹介します。
野菜、果物、ナッツ、魚を多く含み、砂糖飲料を制限した食事をしている人は、そうでない人に比べて脳の容積が大きいことが、オランダに住む4213人を対象にした研究で明らかになりました。
脳の容積が大きい人は、思考力や記憶力や認知能力が優れていることがこれまでの研究でわかっています。研究責任者のMeike Vernooij氏は、「健康的な食生活は、脳機能を維持して増強するのに有効だという可能性がある」と述べています。
この研究グループが、これらの食事を地中海食と呼ばれる食事の組み合わせに置き換えて調べてみたところ、やはり同じような結果がでたと言っています。地中海食とは、野菜、果物、ナッツ、豆類、全粒粉、ヨーグルト、魚、赤ワインなどを含む料理の総称です。
「これを食べたら脳に良い」というのではなく、健康的な食品の組み合わせが脳の健康に影響を与えている可能性が示唆されています。
認知症にならないためには、普段の食生活に気を配って脳の容積をしっかり保つことが大切なんですね!
ところで、私たち日本人の和食も素晴らしい健康食として世界から注目されています。といっても現代のものではなく、元禄時代以前の食事です。1977年すでにアメリカの「マクガバンレポート」で最も理想の食事として紹介されています。「マクガバンレポート」とは、2年間かけて3000人の疾患と栄養に関する調査を行って5000ページにまとめられた研究資料です。
元禄時代は1700年頃で、まだ精米技術がなく白米を食べていなかった時代です。その時代は玄米、あわ、ひえ、麦などが主食でした。穀物は精製することで食物繊維、ミネラル、ビタミン、酵素などの貴重な栄養素が失われます。
また、調理法も現代とは全く違っていました。生、茹でる、煮る、焼くが基本です。炒めたり揚げたりするような料理はほとんどありませんでした。あっても上流階級の特別な料理です。食用油が庶民に流通するようになったのは明治時代中期頃からなので、炒め物や揚げ物を一般の人が食べるようになったのは最近のことなのです。
そして、白米や揚げ物が食卓の定番になるにつれて、昔からある漬物などの発酵食品の出番が少なくなりました。魚介類の摂取量は減って、肉類が増えています。野菜は季節に関係なく摂れるようになったので、旬のものを食べる習慣も減ってきています。
世界から注目される理想の食事をしていた日本に住む私たち。日本には精製されていない穀類、旬の野菜、お魚、発酵食品を活用して頭と体の元気を未来の自分にプレゼントしましょう!
(Croll PH, et al. Neurology. 2018 May 16.Epub ahead of print)