2019.7.3配信
こんにちは!山下あきこです。
今回のテーマは老化物質と骨です。
骨といえば体を支えるのが役目!というイメージがあると思いますが、そのほかにも血液を作る、カルシウムなどのミネラルを貯蔵する、などの機能を持っています。
そして、最近さらに代謝、免疫、老化にも関わることが分かってきました。
骨からはホルモンが分泌されており、それが全身に働きかけているからなんです。逆に全身をめぐる物質も骨に影響を与えています。
骨から出るホルモンのなかで注目を浴びている3つのホルモン「オステオカルシン」「オステオポンチン」「スクレロスチン」について最新の知見をお伝えします。
1.オステオカルシン
骨芽細胞から分泌されて骨を強くしてくれます。
このオステオカルシンが増えると、脂肪細胞が小さくなり肥満を予防する効果があります。また、オステオカルシンはインスリン分泌を促進するので、二型糖尿病の予防にも役立ちます。さらに老化物質AGEsを骨の中で増やさないように働きます。骨の中のAGEsが増えると骨折しやすくなることが分かっています。
さらに、活性酸素を除去する効果もあります。活性酸素を効率よく除去できるとシワなどの肌の老化を遅らせ、認知症や生活習慣病、がんなどの発症率が下がります。
オステオカルシンは、骨に衝撃を与えると増えます。ドシンと感じるジャンプ運動や、かかとから着地して大股早歩きで歩くと、同じ歩行でもオステオカルシンを増やす効果があります。
2.オステオポンチン
これも骨芽細胞が出すホルモンです。オステオポンチンは免疫に大きく関わっています。オステオポンチンは免疫細胞を増やす働きがあるので、傷を治しウイルスの除去などに役立ちます。
ただし、必要以上に増えすぎると逆に老化を早めてしまいます。最近の研究では、骨が強く臓器が健康な高齢者ではオステオポンチンの量が明らかに少ないという研究結果が発表されました。
オステオポンチンは慢性炎症を引き起こします。血管の慢性炎症があると心筋梗塞や脳梗塞のリスクになり、脂肪細胞では肥満につながります。
オステオポンチンは内臓脂肪が蓄積していると、大量に分泌されていることが分かっています。肥満が老化を進ませるということです。若くて見た目が痩せていても内臓脂肪が多い方が増えています。内臓脂肪を増やすのは、過剰な糖質摂取とラードのような動物性の飽和脂肪酸です。青魚などに含まれるオメガ3系の脂肪酸は、オステオポンチンの異常な増加を抑えてくれます。
3.スクレロスチン
このホルモンは、骨を作らせないように働きます。過剰な骨形成を抑えるのも大切な身体の働きですが、スクレロスチンが大量に分泌されると若くても骨粗鬆症や骨折を引き起こします。
スクレロスチンが不足して骨折になった例に、自転車のアスリートがいます。自転車運動は荷重がかかりにくく、運動量が多くても骨の強化にはつながらず、スクレロスチンを分泌させてしまいます。自転車と同様に水泳も荷重がかからないので、歩行やジャンプ運動を組み合わせることが大切です。
いかがでしたか?
骨を強くすることは骨折予防だけではなく若々しく元気に年を重ねるのにとても重要だということをお分かりいただけたかと思います。食べ物、運動の内容を振り返り、効果的な健康づくりを続けましょう。