今、日本人の睡眠時間は世界一短いことをご存知ですか?
答えは2の仕事です。
日本はO E C D加盟国のなかで最も睡眠時間が短く、15歳から64歳の平均睡眠時間は7時間22分でした。(2018年の調査)
7時間22分と聞くと、「それだけ眠れば十分だ。」と思うかもしれませんが、各国の平均は8時間25分です。
さらに言うと、メキシコ、韓国、日本だけが7時間台で、そのほかのくには全て平均8時間以上でした。私たちが思っている「普通の睡眠時間」は、世界から見ると短いのです。
また、日本人の約40%が睡眠6時間未満でした。そして、その割合は近年増え続けています。
睡眠が7時間未満の人は、それ以上の人に比べて肥満、糖尿病、心臓病の有病率が高く、早期死亡率は24%高くなっています。
睡眠不足は、生活習慣病、うつ病などの精神疾患、がん、肺炎、骨粗鬆症など、様々な病気を引き起こします。
それでは、やっと答えの解説ですが
なぜ睡眠時間が確保できないのか?
その理由は、「仕事」で睡眠時間が取れない事が最も多いのです。
仕事で短時間睡眠になっている人の割合は約30%で、その次に多かったのはメールやS N S、ゲームなどで夜更かしする場合で、約15%でした。続いて、家事、その他、育児、健康状態、音や照明など、通勤時間などでした。
ただし、女性だけでみると家事・育児が最も睡眠の妨げとなっていました。
男性の多くが、睡眠確保のためには、労働時間の短縮が必要と感じています。そして、女性の多くが、家事のサポートが必要と感じています。
そして、不眠症で悩んでいる方も増えています。働く世代の約30%は慢性的な睡眠不足であり、不眠症があっても受診しないで飲酒に頼っている人が少なくありません。
(厚生労働省「H27年国民健康・栄養調査より」
ということで、仕事による睡眠時間短縮が日本にとって大きな健康被害の原因であることがお分かり頂けたでしょうか?
そして、今年導入が増えたテレワークも睡眠を妨げていることがあるので要注意です。
「テレワークになって通勤時間がなくなり、睡眠時間が長くなった!」という方も中にはいらっしゃいますが、オンオフの切り替えが難しくなってついつい夜遅くまでパソコン作業をしてしまう、という方が増えています。
時間を決めて、仕事から離れるようにしてみましょう。
例えば、こんな工夫があります。
・仕事をやめる時間を決めて、パソコンを片付けて見えないところに置く。
・照明を思いっきり暗くして、キャンドルや間接照明で夜を過ごしてみる。
・スマホをおやすみモードにして、仕事のメールに気づかない様にする。
また、家事や育児、睡眠障害についても重要な問題なので、関わる人みんなで支え、取り組んで行きましょう。
一人一人が睡眠の大切さを知って、毎日の重要なタスクに睡眠を入れて計画を立てることで、日本全体の睡眠の意識が変わっていきます。
まずはあなたから、睡眠時間を確保して、自分を大切に毎日を過ごしてみましょう。
会社の運営に関わる方は、社員の睡眠時間を考えて長時間労働予防の対策を立てましょう。
内科・産業医 山下あきこ