超加工食品が地球汚染につながる?環境のために人間が選択するべき食材とは
お惣菜や冷凍食品、お菓子など……毎日の食事を加工食品で済ませている人も多いのではないでしょうか?
加工食品はコンビニやスーパーでいつでも買えて、安くておいしいので魅力的なものが多いですよね。仕事やプライベートで時間がないときにも、手間暇かけずに食べられるのでとても便利です。
しかし、保存料や着色料などの添加物で加工された「超加工食品」を選択することは、健康だけでなく地球環境への悪影響にもつながります。自分や子どもたちの健康を守り、持続可能なライフスタイルを守るためには「超加工食品」の消費をできるだけ減らしていくことが大切です。
そこで今回の記事では、医師の山下あきこが「超加工食品」のメリットとデメリットについて解説します。
目次
「超加工食品」とは?
「超加工食品」とは、サンパウロ大学のカルロス・モンティ博士らによって考案された「NOVA」に基づく食品分類です。
「超加工食品」の定義は食品から物質を抽出し、化学物質や添加物を使用して製造されたもの。お菓子や冷凍食品、ファストフードなど多くの食べ物・飲み物が「超加工食品」に分類されます。
保存料や安定剤、酸化防止剤などが添加されたものはすべて「超加工食品」です。自然食品から抽出された着色料や香料、グルテンやカゼインなどが添加されたものも「超加工食品」に入ります。
2018年の消費のうち、なんと全体の約60%は「超加工食品」でした。世界における「超加工食品」の消費量は、現在も増え続けています。
「超加工食品」を選ぶメリット
「超加工食品」は、忙しい毎日を生きる現代人にとって魅力的なポイントがたくさんあります。
▼超加工食品を選ぶメリット ・いつでも購入できる ・すぐに食べられる ・日持ちする ・安くておいしい ・魅力的なパッケージデザイン |
「超加工食品」はどこでも買えてすぐに食べられるので、なんといっても便利です。包装されているスナックやすぐに加熱できる製品などが多く、時間がないときでも安くておいしい食事にありつけます。
さらに着色料や香料などで見た目にも工夫を凝らしており、食べる楽しさが感じられるでしょう。青少年に向けたマーケティングに力を入れているものは、パッケージまでスタイリッシュです。
企業側の目線で見てみると、「超加工食品」の販売は収益性の高いビジネスモデルといえます。デザインや広告によって付加価値を高めることで、高い利益が期待できるのです。
「超加工食品」を選ぶデメリット
「超加工食品」は安くておいしいので、消費者にとっては魅力的な食べ物です。しかし、実は地球規模の環境問題や健康面においてデメリットも多くあります。
穀物に依存すると地球環境が破壊される
「超加工食品」は、小麦・米・とうもろこしなどの穀物が多く使われます。
世界中の人口約79万人(2022年時点)のうち、40億人は穀物に依存した食生活を送っているそうです。
しかし、もし世界中の農作物が穀物ばかりになったら、地球環境は破壊されてしまいます。ミツバチなどの昆虫は農薬の被害で減り、ミツバチが媒介する緑黄色野菜や植物の多くは育たなくなるでしょう。
プラスチック増加による環境汚染につながる
「超加工食品」を選ぶということは、プラスチックのパッケージも増えることになります。
プラスチックのほとんどは再利用されず、燃やされたり、海に流れ出たりするそうです。そして空気中を漂ったり、水道水に溶け込んだりして私たちの体内に取り込まれます。
プランクトンや魚が食べたプラスチックも、人間は気付かぬうちに取り込んでしまっているのです。
プラスチックが人体に取り込まれることで、多くの有毒性があることが報告されています。発がん性や生殖機能障害、甲状腺撹乱作用や神経毒性など……多くの健康被害が起こる可能性があるので注意が必要です。
「超加工食品」は肥満を促進させる
アメリカの国立衛生研究所の研究によると、「超加工食品」を多く食べる人は肥満になりやすいことが分かっています。
この研究では、健康な成人ボランティア20人(男性10人と女性10人)を入院させて、2週間ランダムに超加工食品と未加工食品を食べさせました。超加工食品と未加工食品のカロリーや炭水化物、脂質等は同量を含むものです。
すると、超加工食品を多く食べたグループは食欲が増し、未加工食品を食べたグループよりも1日あたり約500kcal多く食べたそうです。そして、超加工食品を多く食べたグループは体重が増え、未加工食品を多く食べたグループは体重が減りました。
つまり「超加工食品」を食べると食欲が増えて摂取カロリー過多になりやすく、肥満が促進されることが報告されているのです。肥満は美容面だけでなく、健康面でも多くのデメリットにつながる可能性が指摘されます。
健康によい食材は社会貢献につながる
健康によい食事を選択することは、一種の社会貢献です。
加工しないで食べられるものは、世の中に多くあります。野菜や果物、肉や魚介類などの生鮮食品をバランスよく食べることで、健康の維持にもつながるでしょう。
とはいえ、コンビニやスーパーに行くと「超加工食品」が溢れています。「超加工食品」を完全に避けることは難しいので、ストレスのない範囲でナチュラルな食べ物を選ぶように心がけてみてください。
「超加工食品」は健康と地球環境に悪影響という事実を知ろう
「超加工食品」を食べるたびに自分の寿命を縮め、地球環境まで汚染しています。
忙しい毎日を過ごす現代人にとって、すぐに買って食べられる「超加工食品」は魅力的です。安くておいしいので、節約したいときにも役立つでしょう。
しかし「超加工食品」を食べることで多くのデメリットがあることも、私たちが受け入れなければならない事実です。安心して食べられる食べ物を守るためにも、できる範囲で「超加工食品」の消費を減らしてみてください。