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お正月太りをするのはなぜ?お正月太りの原因と対処方法を医師が解説

お正月は、家族や友達で集まって食事をする機会が増えますよね。

おせち料理やお餅、甘いお汁粉やお酒など……お正月ならではのご馳走が多くて楽しいイベントです。しかし、お正月が終わると「お正月太り」に悩まされる人も多いのではないでしょうか?

お正月で一気に太ると体重が戻りにくく、肥満による生活習慣病のリスク増加につながります。当記事では「お正月太りの原因と対処法」を医師が解説するので、ぜひ健康のために役立ててみてください。

目次

正月太りするのはなぜ?体重増加の原因6選

お正月は、つい気持ちが緩んで食べすぎてしまうもの。まずはお正月太りの原因を具体的に見ていき、太らないように対策を取りましょう。

原因1:休暇によって運動量が減る

通勤や立ち仕事、重労働の作業など……仕事のために身体を動かしている人は、お正月休みで消費カロリーが減ってしまいます。

消費カロリーが減るので、いつも通りの量しか食べなくても太ってしまうでしょう。休暇なのでゆっくり休むことも大切ですが、「ウォーキング」「サイクリング」などで身体を動かしてリフレッシュするのもおすすめです。

原因2:テーブルの前に長時間座っている

お正月休みは、テレビを見ながらテーブルの前に長時間座っていることも増えるのではないでしょうか。

年末年始のテーブルには、ご馳走やおやつが常に出ているもの。休暇中なので、お酒やジュースなどの嗜好品も用意されているかもしれません。

そしてテレビや動画を見たり、おしゃべりしたりしながら、食べ物や飲み物に自然と手が伸びます。お腹が空いていなくても、目に入ったものに手が伸びてしまうのが人間の自然な行動です。

さらに、座り続けることでカロリーの消費量が低下して太りやすくなります。長時間の血管圧迫と足の裏からの血液ポンプ機能低下による血行不良座りっぱなしによる胃腸の動きの低下も太りやすくなる原因です。

原因3:用意された食事を食べすぎる

親戚が集まるときのご馳走は、おもてなしのために多めの量が用意されているもの。

そしておもてなしを受ける側は、せっかく作ってくれた料理を残すのは失礼だと感じます。レストランなどでは、自分で注文したものなら残すのはもったいないと感じるでしょう。

「残したらいけない」「申し訳ない」「もったいない」という気持ちから、お腹いっぱいなのに食べすぎてしまうのです。

フードロスを減らす意識を持つことは、社会環境にとってとても大切です。しかし、これからの健康を維持するためには食べ過ぎを防がなければなりません。

おもてなしを受けるときでも「お腹の空き具合は?」「食べても後悔しないか?」など、身体からのオーダーに耳を傾けましょう。もし食べる必要がないと感じたら他の人とシェアしたり、お持ち帰りしたり、フードロスを出さないようにできるとよいですね。

原因4:運動習慣が中断する

日常的にウォーキングやジョギングなどの運動を続けていた人も、お正月をきっかけにやめてしまう場合があります。

「忙しいし」「せっかくの休みだし」など……習慣をやめさせる自動思考は、いくらでも湧いてくるものです。

いつもと違う生活パターンになると、人は習慣を一旦中断してしまいます。それをきっかけに、これまで体型を維持するために行っていた運動習慣を忘れてしまうのです。

「1日くらい」「2日くらい」とお休みしているうちに、運動習慣が頭に浮かぶこともなくなってくるかもしれません。お正月休みのときは「この日は休む」「この日から再開する」など予め決めておくか、毎日少しでもいいので継続し、運動習慣を忘れないように意識しましょう。

原因5:お酒を飲む機会が増える

アルコールは、脂肪を肝臓に蓄積させてしまいます。

すると代謝が低下して、さまざまな臓器の障害をきたしてしまうのです。正月太りを避けたいなら、連日アルコールを大量に飲まないように気をつけましょう。

また「糖質オフのお酒なら太らない」と思っている人も要注意。糖質オフでも、アルコール自体が中性脂肪や内臓脂肪を増やす原因になります

さらに、飲酒すると寝付きが良くなるように感じますが、全体的な睡眠は浅くなってしまいます。睡眠が浅くなることで代謝が低下し、太りやすくなるのです。

原因6:お正月料理は太りやすい

おせち料理は、日持ちさせるために塩や砂糖を多く使っています

塩分は、水分を血管に引き込む性質があるため、食べすぎると身体がむくみやすくなります。また、糖分をとりすぎると血糖値を安定させるためにインスリンが多く分泌され、中性脂肪の蓄積に繋がってしまうのです。

さらに、インスリンは塩分を体内に取り込みやすくする性質があります。おせち料理の塩辛いもの・甘いものを交互に食べていると、むくみと脂肪蓄積が起こりやすくなってしまうでしょう。

糖質を控えるとインスリンの分泌が減るため、塩分を取りすぎてもナトリウム排出機能が正常に働いてくれます。塩辛いものを食べるときは、お餅や甘いものなどを食べすぎないように意識してみてください。

正月太りの体重増加は平均何キロ?

年末年始は、多くの人が体重増加を経験します。そして年末年始に増えた体重は、なかなか戻らない傾向にあるので注意が必要です。

日本における正月太り

2021年に日本人10000人を対象に行われた「スパコロ」の調査によると、年末年始で約2割の人が「体重が増加した」と回答したそうです。

また、増加した体重は平均2.33kgでした。

その他多くの調査結果を見ても、平均2.0〜2.4kgの体重増加が見られたそうです。食事制限の指導を受けている糖尿病患者を対象にした調査でも、平均0.6kgの体重増加と血糖値上昇が認められました。

そして、お正月太りをした人の約半数は体重が半年以上戻らなかったのです。お正月に太ってもすぐに戻せると考えて暴飲暴食を繰り返していると、いつの間にか肥満になってしまうかもしれません。

海外における正月太り

お正月太りの傾向は、日本だけのものではありません。

医学雑誌「NEW ENGLAND JOURNAL OF MEDICIN」に掲載された研究によると、日本・アメリカ・ドイツの3カ国で行われた調査でどの国も年末年始の体重増加が認められました

クリスマス後の10日間で増加した体重の平均は、アメリカ0.6kg、ドイツは0.8kg、日本0.5kgとのこと。アメリカとドイツでは、お正月よりもクリスマスのご馳走で太る傾向にあるようです。

正月の体重維持が1年の健康を決める

内臓脂肪の蓄積は、血管や臓器を老化させて健康寿命を縮めます。新しい1年の健康を保つためには、お正月の体重維持がとても大切です。

まずは適正体重を知ろう

健康を保つために、まずはBMIによる自分の適正体重を把握しましょう。

▼適正体重の計算方法

BMI=体重÷(身長)²

BMIは「22」が最も病気になりにくいといわれています。BMI「25」以上になると肥満です。

お正月も毎日欠かさず体重計に乗って、体重の変化をチェックしてみてください。毎日体重計に乗るだけでも、体重を維持する効果があります。

痩せすぎにも注意しよう

BMI「18.5」未満の人は低体重なので、体重を減らす必要はありません。

むしろ、ダイエットによって筋肉量や骨量をへらすと、戻すのが非常に困難です。若いうちに筋肉や骨を保っておかなければ、年齢を重ねたときに歩けない身体になってしまいます。

日本では「痩せている方が美しい」という価値観が広がっていますが、歩けなくなったら美しさどころではありません。とくに若年女性は痩せすぎの傾向が指摘されているので、過剰なダイエットのしすぎにも注意してください。

ダイエットは1ヶ月で約2kgまでの減少にとどめよう

自分の体重がBMI「22」よりも高かったら、1ヶ月あたり2kg程度を目安に体重を減らしましょう。

極端な食事制限はリバウンドしやすくなり、健康にも悪影響があるので注意してください。規則正しい生活と適切な食事管理で、決して無理な状態にならないように調整しながら少しずつ減量していくことが成功につながります。

お正月太りは戻りにくい!暴飲暴食に注意しよう

お正月は家族や友達と集まって、つい暴飲暴食してしまうもの。

ひとときの楽しみはストレス発散に役立ちますが、食べすぎや飲みすぎは体重増加による後悔につながります。新しい1年を健康的にスタートさせるためには、健康的な体重を維持するように意識することが大切です。

健康を維持するためにも、自分の体重を毎日測るようにしてみてください。お正月太りしてしまった人は、1ヶ月あたり2kgを目安に少しずつ減量していきましょう。

この記事を書いた人 医師 山下あきこ

1974年、佐賀県生まれ。二児の母。内科医、脳神経内科専門医、抗加齢医学専門医、医学博士。アメリカ神経学会会員でもある。1999年…

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