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油は健康に悪い?油に関する3つの誤解と健康的な油の摂り方を医師が解説

「痩せたい」「健康診断の数値を改善したい」など……さまざまな理由で、油を控えている方が多いのではないでしょうか?

実は、多くの方が「油は健康に悪い」「油を食べたら太る」といった勘違いをしています。栄養や身体の仕組みをしっかり学ぶと、油は決して悪者ではなく、むしろ健康を保つために必要なものであることが分かるはずです。

そこで今回は、医師のDr.あきこが「油に関する3つの誤解」について解説します。健康によい油の選び方や使い方も紹介するので、ぜひ最後までチェックしてみてください。

目次

油への誤解①:コレステロールを増やすのは油

「コレステロールを増やすのは油」と誤解している方が多くいらっしゃいます。

しかし、食べた油が身体の中でそのまま脂肪になるわけではありません。油を控えればコレステロールや体脂肪の悩みが改善されるというのは、多くの方が勘違いしている認識です。

コレステロールを増やすのは油ではなく「糖質」

コレステロールを増やすのは、油ではなく「糖質」です。

体脂肪の7割は「糖質」を材料にして、肝臓で作られます。つまり体脂肪の材料のほとんどは、油ではなくご飯やパン、麺類や甘いお菓子などの「糖質」ということです。

コレステロールを下げて痩せたいなら油よりも「糖質」を控えよう

食事の中で油を控えようとしたとき、多くの方は「脂身の多い肉」を減らそうと思うのではないでしょうか。

油を控えようとすると、タンパク質の摂取量も減ってしまう傾向にあります。すると栄養を補うために、どうしてもご飯やパンなどの「糖質」を多く摂ってしまいがちです。

その結果、油を減らして総摂取カロリーは減るかもしれませんが、体脂肪や血液中のコレステロール値は上がってしまうでしょう。コレステロールや体脂肪を減らしたい、痩せたいと考えているなら、控えるべきなのは油ではなく「糖質」です。

油への誤解②:オリーブオイル・アマニ油・えごま油以外は健康に悪い

オリーブオイルやアマニ油、えごま油は確かに健康に良い油です。

しかし、必ずしもそれ以外の油が不健康というわけではありません。オリーブオイルに多く含まれる「オレイン酸」やオメガ3脂肪酸と呼ばれる「α-リノレン酸」は、さまざまな油に含まれているのです。

「オリーブオイル・アマニ油・えごま油」が健康に良いのは本当

オリーブオイルに多く含まれる「オレイン酸(オメガ9系)」は、悪玉コレステロールを減らす効果が期待できます。

さらにビタミンEやポリフェノールなど、抗酸化物質も多く含まれるところが魅力です。加熱にも比較的強いという性質があるため、料理など日常的に使いやすい油といえるでしょう。

えごま油やアマニ油に含まれる「α-リノレン酸(オメガ3系)は、DHAやEPAに変換されて中性脂肪を減らします。老化を防ぐ効果も期待できるため、美容や健康への感度が高い方から注目を集めている油です。

「オリーブオイル・アマニ油・えごま油」以外が悪いわけではない

油は一般的に悪いもので、低脂肪を売りにした「一見ヘルシーそうに見える製品」の方が健康に良いというのは誤解です。

オリーブオイル・アマニ油・えごま油が健康に良いのは本当ですが、その3つの油だけが特別に食べていい油というわけではありません。例えば、スーパーでよく売られている「菜種油」には、オリーブオイルより多くの「α-リノレン酸(オメガ3系)」が含まれます。

油には「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」があり、オリーブオイルや菜種油などのサラサラとした油は不飽和脂肪酸です。不飽和脂肪酸には「α-リノレン酸(オメガ3系)」「リノール酸(オメガ6系)」「オレイン酸(オメガ9系)」があり、どれも健康を保つために役立ちます。

ただし、「リノール酸(オメガ6系)」は摂りすぎると心臓血管疾患を増やすといわれているので要注意。また、どの油も加熱によって酸化するので、炭水化物を高温の油で調理するような揚げ物は食べすぎない方がよいでしょう。

油への誤解③:冷やすと固まる油(飽和脂肪酸)は健康に悪い

「飽和脂肪酸」は、冷蔵庫に入れると固まる油です。

ラードやバター、ココナッツオイルなど……冷えると固形になる油は「飽和脂肪酸」に分類されます。「飽和脂肪酸」はまとめて悪者扱いされている傾向にありますが、すべてが健康に悪いというのは誤解です。

「飽和脂肪酸は摂らないほうがいい」という専門家も多く見られますが、そのような意見はほとんどが間違いだと考えられます。

マーガリンやショートニングなど「トランス脂肪酸」は控えたほうがよい

「飽和脂肪酸」は、人間にとって必要な油です。

そもそも人間は動物を食べて進化してきたので、長い歴史の中で人間が食べていたほとんどの油は「飽和脂肪酸」だったと考えられます。

ただし、マーガリンやショートニングなどの人工的な油には要注意。固形であっても「飽和脂肪酸」ではなく「トランス脂肪酸」といって、摂らないほうがいい危険な油です。

ココナッツオイルは体脂肪になりにくい

「飽和脂肪酸」は熱に強いので、加熱調理に向いているという大きなメリットがあります。

さらに中鎖脂肪酸が豊富な「ココナッツオイル」は、代謝スピードが早い油です。すぐにエネルギーとして使われるので、体脂肪になりにくく、元気に動くための源として役立ちます。

油の選び方や効果的な調理法を学べばおいしく健康になれる!

油が健康に悪いというのは、ほとんどが誤解です。

油には種類があり、それぞれ健康のために大切な役割を果たしています。「リノール酸(オメガ6系)」や酸化した油などは摂りすぎないほうがよい油ですが、決して絶対に食べない方がいいというわけではありません。

摂らない方がいいのは、マーガリンやショートニングなどの工業的に作られた「トランス脂肪酸」です。危険な油を避けて健康的な油を選び、それぞれの適切な量や調理法を学べば、最強の体づくりができます。

野菜や肉、魚などの料理には上手に油を使って、心の健康を保ちましょう!もっと詳しく学びたい方は、当社が実施している「マインドフルライフコーチ ベーシック講座」にお申し込みください。

この記事を書いた人 医師 山下あきこ

1974年、佐賀県生まれ。二児の母。内科医、脳神経内科専門医、抗加齢医学専門医、医学博士。アメリカ神経学会会員でもある。1999年…

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