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子どもに対するマインドフルネスの効果とは?睡眠やストレスに影響する?

マインドフルネスは、健康やメンタル向上への効果が多く研究されています。

医療現場や大手企業でも多く取り入れられており、ますます注目を集めている方法です。うつ病や不眠症の改善、認知機能の向上による業績アップも期待できます。

では、マインドフルネスは子どもに対しても効果があるのでしょうか?今回の記事では、アメリカの研究をもとに「子どもに対するマインドフルネスの効果」について解説していきます。

目次

マインドフルネスとは

マインドフルネスとは、マインドフルネス瞑想とよばれるトレーニングによって達成される心理的状態のことを指します。

マインドフルネス瞑想とは「いまここ」も意識を向けるトレーニングです。呼吸や身体感覚に集中し、何か「気付き」「思考」「感情」が浮かび上がってきても判断、反応せずに意識を「いまここ」戻します。

「いまここ」に意識を集中することで新たな気付きが生まれやすく、楽しく新鮮な体験が増えることででポジティブ感情や幸福感が高まるのです。また、ネガティブな感情にとらわれにくくなり、イライラや不安を手放しやすくなります。

さらに、マインドフルネスは脳の疲労回復にも効果的です。脳の一部が活性化するので、集中力や注意力が高まる効果も期待できるといわれています。

子どもに対するマインドフルネスの効果

アメリカでは、2年間にわたり8〜11歳の子どもに対するマインドフルネスの効果を研究しました。すると、マインドフルネスによって子どもたちにさまざまな変化が見られたのです。

睡眠時間が増えた

マインドフルネスを継続した子どもたちは、平均74分間も睡眠時間が長くなりました

また、記憶を整理する「REM睡眠」の時間も長くなっていました

この研究では、マインドフルネスのカリキュラムを学校で週2回ほど実施しています。カリキュラム開始前のベースラインを計測し、2年後の睡眠時間を計測したものです。

この年齢の子どもは通常、思春期に向けて睡眠時間が短くなる傾向にあります。

しかし幼少期の睡眠は、脳や身体の成長のためにとても重要です。睡眠時間を確保するためには、早く寝るように促すだけでなく、マインドフルネスの実施が効果的であることが分かりました。

参考:A school-based health and mindfulness curriculum improves children’s objectively measured sleep: a prospective observational cohort study

ストレスを感じやすくなった

マインドフルネスのカリキュラムを行った子どもたちは、ストレスを感じやすくなりました。

これは、ストレスに気付きやすくなったのではないかと考えられています。

ストレスは、気付かぬうちにメンタルを蝕んでしまうもの。そう考えると、ストレスへの「気付き」が高まることは、それほど悪いことではないのかもしれません。

ストレスとの向き合い方

ストレスへの「気付き」が高まることで、早めの休息や対処ができるようになります

メンタルの不調は、自分でなかなか気付けないもの。最初は「やる気がないような態度」「表情が乏しい」など無意識に表面化することが多く、人から言われるまで気付けない人もいます。

私が産業医として面談を行っていると、多くの人はメンタルの不調があるのに、何がストレスなのか認識できないため言葉で表現できません。面談を重ねて質問を繰り返すことで、少しずつ「気付き」が高まり心の状態を言葉にして表せるようになるのです。

私もうつ病になった経験がありますが、医師としてうつ病の知識があるにも関わらず、自分がなったときには周りの人に言われるまで気付きませんでした。

マインドフルネスは「気付き」の力が高まるので、ストレスやメンタルの不調を認知しやすくなります。ストレスに気付いたら、早めにケアしてあげることが大切です。

子どもと一緒にマインドフルネスに挑戦しよう

子どもたちは、気持ちを言語化するのが大人よりも苦手です。

ストレスがあっても気付かないまま、心や身体の不調となって現れてしまいます。イライラや集中力の欠如、腹痛や頭痛、寝付きが悪くなるなどの症状が出ていたら要注意です。

子どもが不安定なとき、本人に聞いたとしても、ストレスに気付いていない場合は言葉にできません。まずは寝る前のひとときや休日など、家族でマインドフルネスの時間を作ってみませんか?

この記事を書いた人 医師 山下あきこ

1974年、佐賀県生まれ。二児の母。内科医、脳神経内科専門医、抗加齢医学専門医、医学博士。アメリカ神経学会会員でもある。1999年…

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