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運動不足とがんの深い関係とは?コツを掴んで毎日運動不足を解消しよう

おうち時間が増える昨今、運動不足が気になるという方も多いのではないでしょうか。いざ運動を始めようと思っていてもなかなか行動に移せないこともありますよね。

しかし、実は運動不足とがんのリスクは深い関係があるのです。

今回は運動不足が及ぼす、がん発症へのリスクや運動不足を解消するコツをお伝えします。

目次

運動不足とがんのリスクの関係

日本人ががんと診断される確率は2人に1人、ということはよく知られているはず。では、運動不足とがんにはどのような因果関係があるのでしょうか。

身体活動量が多い人ほどがんになりにくい

国立がん研究センターの研究によると、男女ともに、身体活動量が多い人ほどなんらかのがんになるリスクが低下していることが報告されています。

また、がんの部位別では、

▼男性の場合
・結腸がん
・肝臓がん
・膵臓がん

▼女性の場合
・胃がん

において、身体活動量が多い人ほどリスクが低下することがわかっています。

身体活動量が多い人はがんリスクだけでなく、心疾患のリスクも低くなる

身体活動量が多いとがんのリスクを低下させるだけではなく、心疾患のリスクも低くなります。そのため、死亡原因として考えた場合の全体的なリスクを低下させることにもつながるのです。

がんや心疾患リスク低下のための運動目安とは?

では、がんや心疾患などの重大なリスクを低下させるためにはどのくらい身体を動かせば良いのでしょうか。

歩行または同等以上の強度の運動を毎日60分行うことが理想的

厚生労働省の「健康づくりのための身体活動基準2013」の中で、18歳〜64歳の身体活動において、歩行またはそれと同等以上の強度の身体活動を毎日60分行うことを推奨しています。

加えて、息が弾み、汗をかく程度の運動を毎週60分程度行うことも推奨しています。

1日15分ほどのウォーキングでも◎

毎日60分も身体を動かせない…。という方でもご安心を。米国の研究では、1日15分程度の歩行運動でも寿命が伸びる効果が報告されています。

また、毎日継続して運動をできない方でも、週末にまとめて運動をすることによっても効果が得られることがわかっています。

ただし、運動しないで長時間座り続けるのはNG

週末にまとめて運動をすることでも健康効果が得られることがわかっています。

しかし、British Columbia大学の調査によると、1日13時間以上座っている人や60〜90分の座位を繰り返すグループは、座る時間が短いグループや時々立ち上がって体を動かすグループに比べて早期に死亡する確率が2倍になることが判明しています。

調査の中でも、最も死亡リスクが低かったのは30分以上座り続けないで立ち上がるグループ。毎日運動ができない人でも、長い時間座って作業する方は30分ごとに立ち上がって体を動かすよう心がけましょう。

健康に役立つ日常のマインドフルネス

毎日の運動不足はきっかけがないとなかなか解消することができませんよね。そんなときはマインドフルネスの意識を取り入れるのもおすすめです。

ますは座っている時間の長さに気づきましょう

普段から長時間デスクに向かって作業している方は、座っている時間の長さが習慣的になっているかもしれません。

しかし、長い時間座っていることに気づくことで、立ち上がって身体を動かすことにつなげられます。

こまめに立ち上がる動作を取り入れるのが難しい方は、タイマーを使うなどの工夫をすると良いでしょう。

自分の姿勢に気づきましょう

立っているとき、歩いているとき、デスクワークをしているとき、食べているとき。あまり姿勢を気にすることはないかもしれません。

ふとした場面でこまめに自分の姿勢に気づくことは運動不足解消にもつながります。

その理由は、胸を張って姿勢をよくすることで、背筋という体の中でも最も大きな筋肉を働かせられるから。すると、体全体の脂肪燃焼につながり、運動するのに匹敵する効果が得られるのです。

身体に力が入っていませんか?

例えば、寒い季節には背中を丸めて肩に力が入っていたり、機嫌が悪いときに眉間にシワがよっていたりすることはよくありますよね。

このように、体に余計な力が入っていると肩こりや頭痛の原因につながることも。

早めに気づいて体を緩めてあげることで、体調も良くなり、気持ちも和らげられます。

「楽な方」を選んでいる人は注意

無意識の内に、普段の生活の中で階段よりもエスカレーターを選んでいることはありませんか?
ほかにも車を駐車するときに、建物の入口近くに駐車する癖がついているという方も多いはず。

ジムやエクササイズをする時間を確保できなくても、普段から階段を選ぶようにしたり、駐車場は少し離れたところに停めたりすることで効率的に運動量を増やすことにつながります。

まずは、気づかぬ内に「楽な方」を選んでしまっていることに気づく習慣をつくるようにしましょう。

自分の歩き方にも注目してみる

人の歩き方は十人十色。誰にでも特有の「クセ」があるそうです。

そこで、

・背筋
・あごの位置
・腕の振り方
・足の動かし方
・つま先の向き

などに意識を向けてみましょう。

このようにマインドフルに歩けるようになると、体幹や手足の筋肉の動き、皮膚感覚への気づきが深まり、良い姿勢を保つことにもつながります。

毎日の生活で少しずつ身体を動かすことを意識して

日本人の三大疾病の中にも含まれている「がん」。2人に1人が診断されるリスクがあるため、他人事ではいられませんよね。

運動不足を解消するだけでそんな大きなリスクを低下させられる効果が得られるため、ぜひ今日から少しずつ自分の身体に意識を向けて、身体を動かす習慣を身に付けましょう。

この記事を書いた人 医師 山下あきこ

1974年、佐賀県生まれ。二児の母。内科医、脳神経内科専門医、抗加齢医学専門医、医学博士。アメリカ神経学会会員でもある。1999年…

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