認知症を予防する7つのライフスタイルとは?脳神経内科の専門医が解説
高齢の家族と暮らしていたり、ご自身の物忘れが多くなったりすると「認知症になったのではないか?」と心配になることがありませんか?
Dr.あきこが脳神経内科医として病院に勤務していた頃、認知症の診療や研究に多く携わってきました。診療で患者さんが希望されることは、「脳の画像検査」と「認知症の進行を遅らせる薬の処方」です。
「脳の画像検査」をすれば今の状態を知ることができ、治療方針や今後の見通しを考える判断材料になります。しかし「認知症を遅らせる薬の処方」は、発症してしまった認知症の進行をやや遅らせるだけに過ぎません。
大切なのは認知症になってからお薬で進行を遅らせるのではなく、認知症になる前から予防を徹底しておくことです。そこで今回は、脳神経内科の専門医であるDr.あきこが新しい研究をもとに「認知症を予防する7つのライフスタイル」について解説します。
目次
認知症を予防する7つのライフスタイル
認知症を予防するためには、予防薬を飲むよりも「生活習慣を整えること」が最も有効であることが明らかになりました。
2022年9月に米国神経学会で報告された論文に基づくデータです。アメリカで約17万人を12年間追跡調査した結果、「7つのライフスタイル」をすべて実行することで認知症リスクが54%も低下するという結果が出ています。
▼認知症を予防する7つのライフスタイル 1. タバコを吸わない(禁煙する) 2. 健康的でバランスのよい食事 3. 1日30分程度の運動を習慣化する 4. 座りっぱなしの時間を減らす 5. 飲酒を控えめにする 6. 7〜9時間の睡眠 7. 社会的な交流 |
では、それぞれの項目を詳しく見ていきましょう。
1. タバコを吸わない(禁煙する)
喫煙は認知症だけでなく、さまざまな病気のリスクを高める原因になります。
▼喫煙が原因でリスクが上がる病気 ・がん ・脳卒中 ・心筋梗塞 ・高血圧 ・糖尿病 ・腎臓病 |
タバコを吸う習慣がある方は、禁煙すれば認知症リスクを軽減できます。「いつか禁煙しよう」と思っているなら、できるだけ早く実行して認知症リスクを減らしましょう。
2. 健康的でバランスのよい食事
健康的でバランスのよい食事を心がけ、適正な体重を維持しましょう。
▼健康的な食品の例 ・野菜 ・果物 ・全粒穀物 ・大豆 ・魚 ・海藻 ・豆類 ・ナッツ類 など |
朝食は毎日食べて、身体に必要な栄養をしっかり取り入れることが大切です。加工肉や赤身肉など、消化に負担のあるものはできるだけ食べすぎないように意識してみてください。
3. 運動を習慣化する
認知症予防には、運動習慣を作ることも効果的です。
運動する時間は中強度の運動なら週2.5時間(1日30分程度)以上、高強度の運動なら週75時間(1日10分程度)が目安です。
中強度の運動(週2.5時間以上) | 高強度の運動(週75時間程度) |
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ウォーキング ピラティス 自体重を使った軽い筋トレ 体操 パワーヨガ ゆるやかな水泳 ゴルフ バレーボール テニス | ジョギング ウェイトトレーニング 登山 サイクリング エアロビクス サッカー バスケットボール 武道・武術 スキー |
運動には認知症予防だけでなく、血糖値や血圧、中性脂肪を適正にする効果もあります。肥満改善にも効果的なので、体重や体型が気になる方もぜひ毎日運動する習慣を作ってみてください。
4. 座りっぱなしの時間を減らす
運動が苦手な方は、仕事や家事などでなるべく身体を活発に動かしましょう。
運動を積極的に行わなくても、座りっぱなしの時間を減らすことで健康効果が高まります。
デスクワークで座りっぱなしの時間が長い方は、ときどき立ち上がって身体を動かしてみてください。テレビや動画の視聴時間は1日4時間以上にならないように心がけ、余った時間は掃除や軽いエクササイズなどを行うとよいでしょう。
5. 飲酒を控えめにする
認知症を予防するためには、飲酒を控えめにすることも大切です。
▼アルコール摂取量の目安 ・男性……1日20gまで ・女性……1日10gまで |
1日20g、10gとは純アルコールの量です。お酒の種類によって、含まれているアルコール量は異なるので注意してください。
▼アルコール20gの目安 ・ビール500ml……1缶 ・チューハイ350ml……1缶 ・日本酒1合(180ml) ・焼酎1杯(100ml) ・ワイン2杯(120ml) ・ウイスキー2杯(60ml) |
体質によりますが、一般的に女性は男性よりもアルコールの分解速度が遅いことが分かっています。同じ体重の男女が同じ量のアルコールを飲んだとしても、女性の方が臓器障害を起こしやすいようです。
お酒が弱いと感じる方は、上記目安よりも飲酒量を控えることをおすすめします。また、65歳以上の方もアルコールの分解速度が下がったり、酔い方がひどくなることが示唆されているため、飲酒量は少なくすることが望ましいでしょう。
6. 7〜9時間の睡眠
認知症を予防するためには、1日7〜9時間程度の睡眠時間をとることが理想です。
不眠や睡眠不足が続くデメリットは、日中に眠くて活動に支障をきたすだけではありません。睡眠不足は認知症やうつ病、動脈硬化や糖尿病などのリスクも高めることが分かっています。
7. 社会的な交流
社会的な交流を持っている方は、認知症のリスクが減っていました。
▼認知症を予防する社会的交流 ・家族との同居 ・家族や友人と月1回以上会う ・社会活動に週1回以上参加する |
人と会うことや社会活動への参加は、認知機能の向上やメンタルヘルス改善と関連しています。趣味や習い事、ボランティア、地域コミュニティへの参加など、社会的なつながりを深めることで認知症リスクを軽減できると考えられるでしょう。
生活習慣を改善して認知症を予防しよう!
「認知症を予防する7つのライフスタイル」をすべて実行している人は、0〜2個しか実行していない人に比べて、認知症リスクが54%も低下したそうです。
そして「認知症を予防する7つのライフスタイル」を実行できた人は、調査に加わった約17万人のうち9%に過ぎませんでした。
あなたは7つのライフスタイルのうち、いくつ実行できていたでしょうか?「運動不足かも」「お酒を飲みすぎる」など……できていない項目があれば、将来の幸せのために少しずつ改善してみてください!
Dr.あきこは、Youyubeの「マインドフル睡眠チャンネル」でもさまざまな健康情報を配信しています。睡眠の問題やメンタル、ダイエットのことまで有益な情報を分かりやすくお伝えしていますので、ぜひチャンネルをご登録して新しい情報をお待ち下さい。