新型コロナウイルスで死亡者数が減少?死者減少の背景について医師が解説
新型コロナウイルス感染症の流行によって、残念ながら多くの死者が出てしまいました。
しかし日本全体の死者数を見てみると、全体の死者数は激減しているのです。欧米では死者数が激増しているのに、どうして日本ではコロナ禍に死亡者数が減少したのでしょうか。
今回の記事では、医師である山下あきこが「日本における死者減少の背景」について簡単に解説していきます。
目次
2020年の死者数の変化
新型コロナウイルス感染症が世界的に拡大した2020年、日本と欧米諸国では死者数に変化がありました。
日本では死者数が減少していた
2020年における日本の死者数は、前年に比べて9000人も減少しています。
近年、日本は高齢化の影響で、毎年平均で2万人ほど死者数が増加していました。死者数が減少に転じたのは、なんと約11年ぶりのことです。
欧米では死者数が増加した
2020年における欧米の死者数は、近年最高に増加しています。
欧米では、2020年の死者数が平年を大幅に上回る「超過死亡」が生じているほどです。イギリスでは、第二次世界大戦以降最大の死者数でした。
新型コロナウイルスによる死亡だけでなく、その他の疾患による死亡者数も増加しています。
国によって感染状況や生活環境、遺伝子や体質などさまざまな因子が関わることなので、簡単に比較はできません。しかし数字だけ見ると、日本は死者数が減少しているのに対し、欧米では死者数が急増しているという結果になりました。
日本の死者数が減少した理由
欧米では例年をはるかに上回る死者数が出ている中、どうして日本では死者数が減少に転じたのでしょうか。
日本人の気質と健康意識への高まりが死者減少の鍵
日本人は新型コロナウイルス感染症が広がると、手洗い・消毒・マスクの徹底や外出自粛要請を誠実に守り続けました。その結果、新型コロナウイルス感染症以外による肺炎が大きく減ったのです。
また、健康意識が高まったことで生活習慣が改善され、さまざまな病気の発症リスクが減少したことも一因といえます。
▼コロナ禍における死者数の減少要因 ・インフルエンザによる肺炎の減少 ・コロナ以外の感染症による肺炎の減少 ・心筋梗塞や脳梗塞の減少 ・交通事故など不慮の自減少 |
外出自粛によって肥満や飲酒・喫煙の増加も報告されていますが、心筋梗塞や脳梗塞についても減少しました。
これは、感染しないためにはどうしたらいいか、多くの日本人が考えて行動した結果といえます。日本人の誠実な気質と健康意識の高まりが、死者数を減少させたといえるでしょう。
2020年は救急車の要請件数も減少した
消防署の方にお話を伺ったところ、2020年は救急車の出動件数が例年より大幅に減少したそうです。
交通事故の減少はもちろん、一般の疾患においても救急車の要請が減少しました。このことから、1人ひとりの生活習慣が改善され、急変が少なくなったのではないかと考えられます。
ただし、2021年5月以降からは救急車の要請件数が戻ってきているとのこと。新型コロナウイルス感染症が落ち着いたからといって、油断は禁物です。
感染拡大が落ち着いてからの対応が大切
日本の死者数減少をみると、個人の行動によって病気リスクを減少させられることが示されました。
しかし、外出自粛によって飲酒・喫煙量が増えている人も多くなってきているようです。食事量の増加や運動量の減少により、肥満になってしまうケースも多く報告されています。
今の生活で不摂生をしたからといって、すぐに死亡率が上がるわけではありません、しかし5年後、10年後の健康状態に影響することを忘れないようにしてください。
▼今の不摂生による5〜10年後のリスク ・血管が詰まる病気 ・肝臓の障害 ・筋力低下 ・骨折の増加 |
外出できないストレスで飲酒・喫煙・食事量が増えてしまうときは、軽い運動やマインドフルネス瞑想を取り入れるのが効果的です。
株式会社マインドフルヘルスでは、毎朝6:30から「瞑想会」を開催しています。Zoomやclubhouseで無料参加できますので、心と身体の健康のためにぜひご参加ください。
死者減少の理由は意識や行動の変化!
日本では、新型コロナウイルス感染症の流行をきっかけに健康意識が高まりました。
その結果、新型コロナウイルス感染症による死者数は増えたものの、全体的な死者数は減少に転じたのです。1人ひとりの意識や行動によって、感染症や病気のリスクを下げられることが結果として示されました。
ただし、2021年以降は新型コロナウイルス感染症の落ち着きや自粛慣れによって、少しずつ健康意識が緩んでいる傾向にあります。これからも健康的な生活を維持し、元気に長生きできる身体を保ちましょう。