「https://mindful-health.co.jp/info/wp-content/uploads/2022/01/shutterstock_1296096949.jpg」のアイキャッチ画像 過大評価する人ほど能力が低い?自分の能力を過大評価する人の心理とは

過大評価する人ほど能力が低い?自分の能力を過大評価する人の心理とは

能力が低い人ほど、自分の能力を過大評価していると感じたことはありませんか?

実は、アメリカの研究で「能力が低い人ほど過大評価しやすい」という結果が示されているのです。

では、どうして能力が低い人ほど自信過剰で、根拠もなく自分を過大評価してしまうのでしょうか。この記事では、アメリカの研究から得られた過大評価の心理と、過大評価を防ぐための方法について解説します。

目次

自分の能力を過大評価するのはどうして?

コーネル大学のダニングとクルーガーは、140人の学生を対象に自己評価のテストを行いました。すると「能力の低さ=過大評価」という結果がが得られたのです。

能力が低い人ほど過大評価しやすい

コーネル大学の研究で、能力が低い人ほど過大評価する傾向があることがわかりました。

その分野について勉強し、訓練をしている人は、上には上がいることを認識しています。自分自身の現状を適切に評価できるため、能力を過大評価することはありません。

しかしレベルが低すぎる人は、上のレベルが存在することを知りません。自分の現状を正しく把握できないため、能力を過大評価してしまうのです。

日本には「井の中の蛙大海を知らず」ということわざがありますが、まさにこの状態といっていいでしょう。

能力が低い人ほど過大評価する傾向があることを、研究者の名前をとって「ダニング=クルーガー効果」といいます。

能力の過大評価は自分にも起こり得る

「ダニング=クルーガー効果」は、決して他人事ではありません。

例えば「やる前は簡単にできると思っていたのに、やってみたら難しかった」という経験はありませんか?

仕事やスポーツ、楽器の演奏や料理など……さまざまな場面で、自分の能力を過大評価してしまうことがあります。他人の過大評価に嫌悪感を感じたときは、自分のことも振り返ってみるといいでしょう。

自分自身を客観視するのが苦手

自分自身を客観視するのが苦手なことも、自分の能力を過大評価してしまう人に多く見られる特徴です。

自分自身を客観視する力を「メタ認知」といいます。「メタ認知」とは、自分の感情を俯瞰して眺めるイメージです。

例えば他人に対して怒っているとき、メタ認知力が低い人は「相手の悪いところ」ばかりに意識が行きます。逆に、メタ認知力が高い人は「自分が怒りの感情を抱えている」ということを認識します。

メタ認知力が低い人は自分の能力を客観的に見られないため、現状を適切に把握できません。その結果、能力が伴わないのに過大評価することになってしまうのです。

メタ認知力が高いひとは、現状を把握して問題から目をそらしません。自分の能力を俯瞰できるので、現状を適切に把握できます。

「メタ認知」の低さがハラスメントに繋がることも

筆者(当社代表:山下あきこ)が数年前に「マインドフルネス習熟度評価」という調査を行った際、興味深い結果が得られました。

ある施設のスタッフに対してアンケート形式の自己評価を行ったところ、一部の人が異常なほど高得点をつけていたのです。高得点をつけていた人たちの名前を確認すると、ハラスメント加害者として名前が挙がっている人と一致していました。

さらに、ハラスメント加害者として報告される人は、ほぼ100%「自分は被害者」と言います。ハラスメントに関しては両者の言い分があるので、どちらが正しいとは言えませんが、自分の行動が人を傷つけている認識は薄いようです。

自分が好ましくない状況に陥ったとき「環境のせい」「相手のせい」と思う傾向がある人は、メタ認知力が低いといえます。

過大評価と自信の違い

「ダニング=クルーガー効果」は、能力の低い人が自分より上の存在を認識できずに起こり得るもの。

レベルの低い状態から訓練を行い、自分の現状を正確に把握できるようになると「根拠のない過大評価」を失うことになるでしょう。

しかし、そこから努力を積み重ね、自分の現状を正確に把握した上で得られる満足感は「本当の自信」につながります。根拠のない自信過剰な状態から、「確かな自分への信頼」という本当の自信が身につくのです。

自分への過大評価を防ぐ方法

自分への過大評価は、誰にでも無意識のうちに起こり得ること。不適切な過大評価を行わないためには、マインドフルネスの訓練で「努力できる力」や「メタ認知」を育むのが効果的です。

マインドフルネスで脳を活性化させよう

「マインドフルネス」の訓練を行うと、脳の背外側前頭前野が活性化します。すると、感情や思考に対する気づきの力が高まるのです。

また、脳の背外側前頭前野は気づきの力だけでなく、さまざまな能力を司っています。

▼マインドフルネスの訓練で得られるもの

・気付きの力
・集中力
・注意力
・記憶力
・問題解決能力

マインドフルネスの訓練を行うことで、「メタ認知」「努力をする力」が育まれます。すると自分の能力を適切に把握出来るようになり、目標達成に向けて行動しやすくなるでしょう。

マインドフルネスは短時間でも毎日継続するのが効果的

 マインドフルネスは、決して難しい訓練ではありません。

まずは日常の中で、静かに座って自分と向き合う時間を作ってみてください。短時間でも毎日継続することで、少しずつ身についていきます。

仕事や勉強、健康管理やメンタルの強さなど……自分を高めたいと願っている人にとって、マインドフルネスは助けになります。自己流のマインドフルネスですっきりする感じが得られたら、サロンやオンラインプログラムで本格的なレッスンも体験してみてください。

能力が低い人ほど過大評価しやすい!客観視が苦手な人も注意して

過大評価する心理は、まさに「井の中の蛙大海を知らず」ということわざ通りです。

自分の能力を過大評価する人は、能力が低いゆえに上のレベルを認識できません。さらに客観視が苦手な人も、自分の現状を正確に把握できずに「自分が一番」と感じてしまうのです。

脳を活性化して「努力する力」「メタ認知」を高めれば、自分への評価を適切に把握できるようになります。短時間でもいいので毎日自分と向き合う時間をつくり、過大評価しない力を身につけましょう。

この記事を書いた人 医師 山下あきこ

1974年、佐賀県生まれ。二児の母。内科医、脳神経内科専門医、抗加齢医学専門医、医学博士。アメリカ神経学会会員でもある。1999年…

関連する記事