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フレイルとは?うつ状態がフレイルのリスクを増加させる?

「フレイルを予防したい」「フレイルになりかけているかも」など、フレイルに関心があるのではないでしょうか。

年齢を重ねるにつれて、心と身体は弱くなっていくもの。しかし「歳のせいだから」と放置しておくと、そのまま「要介護」状態になってしまうかもしれません。

当記事では「フレイルとは何か」「フレイルの原因」について解説します。「フレイルとうつの関係」についても解説していくので、ぜひ最後までご覧ください。

目次

フレイルとは?

「フレイル」という言葉は、もともと海外の老年医学分野で使用されている「Frailty(フレイルティ)」からきています。「Frailty(フレイルティ)」は「か弱さ」「こわれやすさ」という意味を持つ言葉です。

「フレイル」は、年齢によって心と身体、社会的なつながりが弱くなってしまった状態を指します。そのまま放っておくと「要介護」状態になってしまいますが、「フレイル」なら適切なケアを行えば健康に戻れる段階です。

フレイルとは「要介護状態になる一歩手前」のこと

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「フレイル」とは「要介護」状態になる一歩手前のことをいいます。

「要介護」状態になると、健康状態に戻すことは困難です。しかし「フレイル」は可逆的な状態なので、早く適切にケアすれば健康に戻れます。

フレイルの基準

日本長寿医療研究センター(J-CHS)では、フレイルの基準を以下のように設けています。「フレイルかも?」と思ったら、まずはセルフチェックをしてみてください。

項目評価基準
体重減少6ヶ月で2〜3kg以上の体重減少
筋力低下握力:男性<26kg 女性<17kg
疲労感わけもなく疲れたような感じがする
歩行速度通常歩行速度<1m/秒
身体活動1. 軽い運動を週に1回もしていない
2. 定期的な運動をしていない

3項目以上に該当すればフレイルの可能性が高いといえます。1〜2項目に該当する場合は、フレイルに近いプレフレイルの状態です。

該当なしの場合は、フレイルの心配はありません。フレイル・プレフレイルに当てはまる場合は、かかりつけの医師に相談しましょう。

フレイルの原因

フレイルを予防・改善するためには、何がフレイルの原因になっているのかを知ることが第一歩です。フレイルの原因と、効果的な対策方法を知っておきましょう。

フレイルのリスクを高める疾患

フレイルは「体を動かさないこと」による筋力、体力低下が原因と思われがち。しかし、実際にフレイルのリスクを高めているものは、運動能力の低下だけではありません。

▼フレイルのリスクを高める疾患

1位 うつ状態 4.7倍
2位 貧血 2.8倍
3位 肺気腫 1.8倍

フレイルのリスクを最も高めるのが「うつ状態」です。なんとメンタルの不調が、最もフレイルのリスクを高めています。

メンタルの不調に続いてフレイルのリスクを高めるのが「貧血」です。鉄分やタンパク質などの栄養不足によって貧血になると、フレイルのリスクが高まります。

3位の肺気腫は、喫煙者に多く起こる病気です。喫煙習慣は肺の病気だけでなく「要介護」状態への近道になってしまいます。

うつ状態とフレイルの悪循環

心の不調「うつ状態」とフレイルは、私たちの身体に悪循環を引き起こします。

▼抑うつとフレイルが引き起こす「悪循環」

抑うつ

動かない、歩かない

エネルギーを使わない

食事量が減る

体重が減る

筋肉が落ちる

バランスが悪くなる

転んで転倒、骨折

心の不調によって動かなくなり、身体の運動機能が衰えて寝たきりになってしまうケースです。

うつ状態になると一日中気分が落ち込み、疲れやすいなどの身体症状も現れます。動かなくなるので食事量も減り、筋肉が落ちることで転倒・骨折から要介護状態につながってしまうのです。

うつ+貧血でフレイルのリスクが跳ね上がる

うつ状態と貧血が重なると、フレイルになるリスクは11.9倍に跳ね上がります

貧血とは、赤血球に含まれるヘモグロビン濃度が低下した状態です。鉄分やタンパク質、ビタミン類が不足すると貧血を起こしやすくなります。

うつ状態になると食欲減退が起こるので、栄養状態が悪くなりがち。すると貧血になりやすく、食事量と活動量が減るので筋肉や体重も落ちてしまいます。

体力がなくなると身体バランスが悪くなり、転倒・骨折につながります。高齢期の転倒・骨折は寝たきりリスクが高く「要介護」状態の原因を作ってしまうのです。

フレイルを予防する方法

「このままだとフレイルになる」「フレイル状態になっている」と気づいたら、早めに健康状態へ戻すためのアクションを起こすことが大切です。フレイルになっていない人は、日頃からフレイル予防を意識して生活しましょう。

フレイル予防には多面的なアプローチが効果的

年齢をを重ねても元気でいるためには「運動・食事・睡眠・心のメンテナンス」などの多面アプローチが欠かせません。

「栄養だけ」「運動だけ」など……何か1つのことに集中して頑張るよりも、多面的なアプローチする方が健康づくりには効果的です。早く適切にケアしてフレイルを予防・改善するために、身体と心に向き合って多面的なケアをしていきましょう。

フレイルを予防する「セブンアプローチ」

私たち株式会社マインドフルヘルスでは、健康づくりは多面アプローチが有効であることから「セブンアプローチ」という7つの要素にまとめました。

▼セブンアプローチ

・マインドフルネス
・Well-being
・栄養
・運動
・睡眠
・脱依存
・習慣化

セブンアプローチを実践し、習慣化することで健康的な身体を保ちやすくなります。フレイルの予防・改善にもつながるので、ぜひ家族や友達にも「7つの健康の柱」を広げ、いつまでも生き生きと暮らせる社会を目指しましょう。

フレイル予防は社会貢献!

私たちが元気な老後を手に入れることは、未来の若い世代が幸せに暮らせる社会につながります。

自分の健康管理やフレイル予防は、社会貢献の一環といっても過言ではありません。

今「行動」を変えることで、身体は変わっていきます。「セブンアプローチ」を軸に1つひとつ習慣化して、最後まで元気でいられる身体と輝ける未来を作っていきましょう。

この記事を書いた人 医師 山下あきこ

1974年、佐賀県生まれ。二児の母。内科医、脳神経内科専門医、抗加齢医学専門医、医学博士。アメリカ神経学会会員でもある。1999年…

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