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炭酸水はアルカリ性?アルカリ性の食品を食べれば健康になれる?

「アルカリ性の食品は体にいい」「酸性の食品は健康に悪い」と思い込んでいる人が多いのではないでしょうか?

実は、食べ物や水分で体内のpHが変わることはほとんどありません。なぜなら、私たちの体内にはpHを一定に保つ機能が備わっているからです。

「炭酸水はアルカリ性」という噂を信じて、健康のために毎日炭酸水を飲んでいる人も多いのではないでしょうか?この記事では、医師が「アルカリ性食品と健康」について解説します。

目次

炭酸水は酸性

「炭酸水はアルカリ性だから体にいい」と聞いたことがある人も多いのではないでしょうか?

実は、炭酸水はpH4.4で酸性です。

しかし、炭酸水が酸性だからといって体に悪いわけではありません。私たちの体のpHは腎臓によって一定に保たれているため、食材や水では簡単に変わらないのです。

体内の水分は「弱アルカリ性」

体内の水分は「弱アルカリ性」です。

しかし、アルカリ性食品や水分にこだわる必要はありません。なぜなら、食事や水分で体内のpHを簡単に変えることはできないからです。

体内のpHは腎臓が一定に保っている

私たちの身体では、腎臓が働いてpHを一定に保っています

酸性やアルカリ性の食材・水分を摂ったからといって、簡単に身体がどちらかに傾くことはありません。

アルカリ成分を摂った分だけ身体のpHが変化したら、意識障害になってしまうでしょう。逆に、体内の水分が「弱アルカリ性」だからといって、酸性の食べ物を食べても健康に影響はありません。

活性酸素が生じると酸性に傾く

活性酸素が生じると、身体は酸性に傾きます

身体が酸性になると糖質や脂質が分解されにくくなるため、老化が進行するのです。

活性酸素は紫外線や大気汚染、煙草などの酸化物質を取り込むことで過剰に産生されやすくなります。また、過度な運動やストレスも活性酸素の産生を促す原因です。

活性酸素の過剰な産生を抑えるためには、バランスのとれた食事や適度な運動習慣、質のよい睡眠をとることが大切。アルカリ性食品にこだわるよりも、生活習慣を全体的に改善することが重要ということです。

アルカリ性食品・酸性食品とはどんなもの?

食べ物には「アルカリ性食品」「酸性食品」があります。

「アルカリ性食品が身体によい」「酸性食品が身体に悪い」ということはありません。どちらの食材もバランスよく選び、健康的な食事を楽しみましょう。

アルカリ性食品

▼アルカリ性食品

・大豆
・野菜
・海藻

大豆や野菜、海藻はアルカリ性ミネラルが豊富な食材です。

アルカリ性の食品はヘルシーなものが多いので、積極的に取り入れるといいでしょう。ただし、アルカリ性の食材ばかり食べたからといって、身体のpHがアルカリ性に傾くわけではありません。

酸性食品

▼酸性食品

・肉
・穀類
・砂糖

酸性の食材を食べたからと言って、身体が酸性に傾くわけではありません。

身体によい食材を選ぶ意識は大切ですが、イメージで食材を選ぶと食事を楽しめなくなってしまいます。ときには肉や穀類、甘い物も食べて、食事を心から楽しむことも大切です。

健康におけるミネラルの摂り入れ方

ミネラルとは、体を構成する主要な4元素(酸素・炭素・水素・窒素)以外のものの総称です。代表的なミネラルとしてはカルシウム、カリウム、マグネシウムなどがあります。

ミネラルは食材から摂るのが効果的

ミネラルを摂りたいとき、ミネラルウォーターが思い浮かぶ人も多いのではないでしょうか。

例えばフランスの硬水「エビアン」を100ml飲むと、8mgのカルシウムが摂取できます。1本飲めば24mgほど摂取できるはずです。

ただし、成人1人1日あたりのカルシウム推奨量は男性で700〜800mg、女性で650mgと設定されています。ミネラルウォーターから摂れるカルシウム量は微量なので、カルシウムが豊富な食材から摂り入れたほうが効率的です。

▼カルシウムが豊富な食材

・牛乳200ml 220m
・刻み昆布10g 94mg
・しらす干し10g 52mg

ミネラルウォーターにも少量のミネラルが含まれるため、飲まないよりは飲んだほうがいいでしょう。しかし、ミネラル摂取のためにあえてミネラルウォーターにこだわる必要はないということです。

砂糖のミネラルは気になくてOK

「白砂糖は身体に悪い」「茶色い砂糖がいい」と考えている人も多いのではないでしょうか。

精製された白砂糖よりも、より自然に近いきび砂糖やてんさい糖はミネラルが豊富です。ただし砂糖から摂れるミネラルは微量で、それほどメリットは多くありません。

ミネラルの摂取を求めて茶色い砂糖を選ぶと、料理の味が決まらなかったり、見た目が茶色っぽくなったりしてしまいます。

砂糖は嗜好品であり、料理を美味しく食べるためのもの。嗜好品と割り切り、料理のクオリティを求めて精製された白砂糖を使うのも悪くないのです。

アルカリ性食品ばかりを選ばなくてもOK!食事を楽しもう!

健康のことを考えすぎて、アルカリ性食品や健康にいい食べ物を選ぶことに神経質になっていませんか?

たしかに、体内で活性酸素が生じると身体が酸性に傾き、糖質・脂質の代謝異常や老化が起こりやすくなります。しかし活性酸素が過剰に産生される原因は大気汚染や喫煙、ストレスなどの影響で、酸性食品をたくさん食べるからではありません。

健康のことばかり考えて食べることがストレスになったら、アルカリ性食品ばかりを食べていても身体が酸性に傾いてしまうでしょう。健康を考えることも大切ですが、それよりもバランスを考えながら食事を楽しむことも大切です。

私たちの身体の中では腎臓が働き、常に適切なpHを保ってくれています。食べ物や水分で簡単にpHが変わることはないので、健康とともに「食事を楽しむ心」も忘れないようにしてください。

この記事を書いた人 医師 山下あきこ

1974年、佐賀県生まれ。二児の母。内科医、脳神経内科専門医、抗加齢医学専門医、医学博士。アメリカ神経学会会員でもある。1999年…

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