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膝の痛みに鎮痛剤は逆効果!膝関節症を軽減する方法を医師が解説

「膝に違和感がある」「歩くと膝が痛い」など……膝の痛みが出てきて、ツラさを感じているのではないでしょうか。

仕事や家庭、プライベートが充実しているときは、なかなか専門の医療機関に相談できないこともありますよね。薬局で市販の鎮痛薬を買ってきて、痛み止めを常用している方も多いようです。

しかし新しい研究では、市販の鎮痛薬を使い続けると膝関節症の症状を悪化させてしまう可能性があることが分かりました。そこで今回は、Dr.あきこが科学的なエビデンスをもとに「膝の痛みと鎮痛剤」について解説していきます。

目次

膝の痛みは鎮痛剤で悪化する?

新しく発表された研究では、一般的な鎮痛薬が膝関節症の症状を悪化させる可能性があることが示唆されました。膝の痛みがあって、薬局で市販の鎮痛薬を購入し続けている方は要注意です。

NSAID鎮痛剤の使用は膝の状態が悪化する可能性がある

「アスピリン」「ナプロキセン」「イブプロフェン」などのNSAID鎮痛薬は、使用することによって膝関節症の状態を悪化させる可能性があります。

2022年11月27日〜12月1日まで、シカゴで行われた「北米放射線学会」の年次集会で発表された研究内容です。

膝関節症で「1年以上NSAIDを処方されて服用し続けた人」をMRI検査すると、膝の状態が悪化していました。さらに、4年後の検査でも悪化の傾向が見られたそうです。

膝の痛みがあるときにはNSAID鎮痛薬がよく処方されますが、医師がNSAID鎮痛薬を何ヶ月も処方し続けることはありません。なぜなら、NSAID鎮痛薬を服用し続けると胃腸障害をきたす可能性があるからです。

そもそもNSAID鎮痛薬は一時的な痛み止めであり、根本的な治療にはなりません。

しかし、NSAID鎮痛薬は薬局でも購入できるものがあります。膝の痛みをなんとかしようと、患者さん自身が薬局で購入して飲み続けているケースが多くあるようです。

一時的に痛みが軽減しても炎症は軽くならない

NSAID鎮痛薬を使えば、一時的に痛みは軽くなるかもしれません。

しかし膝の炎症は軽くならず、軟骨の状態はより悪化する可能性があるのです。長期的に服用し続けると、膝関節症を進行させてしまうかもしれません。

膝関節症の痛みを抑えるために「アスピリン」「ナプロキソン」「イブプロフェン」などが入った市販の鎮痛薬を常用している方は、痛み止めに頼りすぎず医療機関に相談してみてください。膝の痛みを根本的に治療して、鎮痛薬なしでも活動できる状態を目指しましょう。

膝の痛みを軽くする方法

膝の痛みは、生活習慣の改善やストレスケアで軽減しやすくなります。市販の鎮痛薬に頼りがちな方は、日常生活の行動から根本的な改善に取り組んでみてください。

膝の痛みには「運動」が効果的

膝関節症の状態をよくするためには、運動による骨周囲の筋肉強化が効果的です。

膝の痛みがあるときは「安静にしたほうがいい」と考え、運動量が減ってしまうかもしれません。そもそも、膝の痛みがあるときは運動もままならない状態になることもあるでしょう。

しかし膝周辺の筋肉や靭帯の強化をすることで、むしろ膝関節の摩擦を軽減できます。骨に負担をかけすぎないように注意しながら、少しずつ運動する習慣を取り入れてみてください。

体重を減らすことで膝に痛みを軽減できる

体重を原料することも、膝関節症の状態をよくするために有効であることが分かっています。

膝関節の負担に影響するのは「体重」です。まずは今の体重が適切であるかどうかチェックし、肥満傾向なら減量を始めましょう。

体重を4kg減量すると、膝の痛みの改善効果が期待できます。日頃から運動習慣を身に着けて体重の管理を行うことが、膝関節症の予防や軽減に効果的な方法です。

鎮痛薬・運動・減量以外で膝の痛みを軽減する方法

痛みへの対処法は、鎮痛薬・運動・減量だけではありません。

運動が苦手な方や、すぐに減量するのが難しいと感じる方は、鎮痛薬に頼る前に別の方法を試してみてください。

▼膝の痛み軽減に効果的な方法

・誰かと会話する
・瞑想する
・十分な睡眠時間を確保する

すぐに鎮痛薬が飲みたくなる方は、その行動が悪化の原因になるかもしれないことを知っておきましょう。会話や瞑想、睡眠などで心身のケアをしながら、無理のない範囲で運動や体重の減量に取り組んでみてください。

膝の痛み軽減には運動・減量が効果的!市販の鎮痛薬の常用は避けよう

膝の痛みがあると「体質や遺伝かな」「歳だから仕方がないかな」と思い、病院に行かずに対処している方が多いのではないでしょうか。

しかし、膝の痛みを抑えるために市販の鎮痛薬を常用している方は要注意。「アスピリン」「ナプロキセン」「イブプロフェン」などのNSAID鎮痛薬を長く使い続けると、膝関節症の症状を悪化させてしまう可能性があるようです。

膝の痛みを感じたら、まずはご自身の体重をチェックして、肥満傾向がある方は食事改善や運動を始めましょう。膝の周りの筋肉や靭帯を鍛えると、膝関節の摩擦も軽減しやすくなるので、骨の負担がかかりすぎない範囲で運動にチャレンジしてみてください。

Dr.あきこは、Youtubeでも健康に有益な情報を発信しています。より健康的で幸せな人生を送るために、ぜひ健康を高めるための動画をチェックしてみてください!

この記事を書いた人 医師 山下あきこ

1974年、佐賀県生まれ。二児の母。内科医、脳神経内科専門医、抗加齢医学専門医、医学博士。アメリカ神経学会会員でもある。1999年…

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