「https://mindful-health.co.jp/info/wp-content/uploads/2022/10/ismail-hamzah-PUCXN9hte3Y-unsplash.jpg」のアイキャッチ画像 孤独が病気リスクを高める?人付き合いが苦手でもできる病気リスクの回避法は?

孤独が病気リスクを高める?人付き合いが苦手でもできる病気リスクの回避法は?

「人と会うことが減った」「なんだか寂しく感じることが増えた」など……新しい生活様式が浸透する中で、漠然とした孤独感を感じていませんか?

実は、孤独はメンタルの状態に影響するだけでなく、病気の罹患リスクを高めることが研究によって明らかになりました。健康的な身体を維持するためには、面倒だと感じる人付き合いも必要な場合があるのです。

そこで今回は、Dr.あきこが「孤独による病気リスク」について解説します。人付き合いが苦手な人でもできる病気リスク回避法も解説していくので、ぜひ最後までチェックしてみてください。

目次

孤独は病気のリスクを高める

あなたは毎日、どれくらい人とコミュニケーションを取っていますか?

新しい生活様式ではリモートワークが浸透しつつあり、中には「誰とも会わない」「会話もない」という方も少なくないでしょう。人と関わるのが苦手な方は、かえって気が楽だと感じるかもしれません。

しかし「孤独」は気付かぬうちにストレスで心を蝕み、さらに身体の病気の罹患リスクを上げてしまうことが分かっています。人付き合いが苦手な方でも、信頼できる家族や友人とのコミュニケーションを少し増やすことを意識してみてください。

孤独によって糖尿病リスクが2倍に上がる

2022年9月に発表された論文によると、孤独を感じている人は「2型糖尿病」になるリスクが2.19倍になることが分かりました。

糖尿病には「1型糖尿病」「2型糖尿病」「妊娠糖尿病」などさまざまな病型があります。中でも日本の糖尿病患者で最も多いのが、生活習慣病に関係する「2型糖尿病」です。

「2型糖尿病」は生活習慣の乱れに加えて、遺伝的に糖尿病になりやすい体質を持っていることが原因といわれています。肥満の方が「2型糖尿病」を発症しやすい傾向にありますが、肥満でなくても体質によっては発症する可能性があるので、痩せ型〜普通体型の方でも注意が必要です。

孤独が糖尿病リスクを上げる理由

長期的に「孤独」を感じている方は、慢性的なストレスを抱えやすい傾向にあります。

慢性的なストレスは、血糖値を上げやすくしてしまうのです。生活習慣病の乱れにもつながり、ますます2型糖尿病の発症を促進してしまいます。

▼孤独が糖尿病リスクを上げるメカニズム

・ストレスホルモンの増加によって血糖値が上がりやすくなる
・血糖値を下げるホルモン「インスリン」が効きにくくなる
・睡眠障害によって血糖値が上がりやすくなる
・糖質の多い食品や飲み物の摂取が伏せる

孤独はストレスホルモンの「コルチゾール」を増加させ、その影響で血糖値が上昇しやすくなります。さらに血糖値を下げるホルモン「インスリン」が効きにくくなり、血糖値が下がりにくくなることも糖尿病を発症する要因の1つです。

さらに孤独によるストレスは睡眠障害を引き起こし、寝不足になると血糖値が上がりやすくなります。別の研究によると、孤独を感じている人は糖質が多い食べ物や飲み物の摂取が増えるというデータもあるようです。

孤独の人が病気リスクを避けるには?

家族構成や働き方によっては、どうしても孤独になってしまう場合もあります。

また、人付き合いが苦手で、人と関わる方がストレスになる方もいますよね。そこで、孤独でも2型糖尿病の発症リスクを下げる方法について解説します。

心身プラクティスを行うと血糖値が下がる

「マインドフルネスストレス低減法(MBSR)」「ヨガ」などの心身プラクティスを行うと、血糖値が下がるというデータが出ています。

南カリフォルニア大学公衆衛生学部の研究グループは、1993〜2022年に発表された心身プラクティスに関するデータを解析しました。すると心身プラクティスを行っただけで、血糖降下剤「メトホルミン」を飲んだときと同等の効果が得られていたのです。

HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)は過去1〜2ヶ月の血糖値がどの程度だったかを示す数値ですが、心身プラクティスを行うと平均で1%下がることが分かっています。平均1%のHbA1c低下は、「メトホルミン」を飲んだ場合と同等の効果です。

このことから、孤独を感じやすい生活の方は心身プラクティスを取り入れることが効果的といえます。健康診断で血糖値の高さを指摘された方も、ぜひ「マインドフルネス」「ヨガ」などを日常に取り入れてみてください。

心身プラクティス「マインドフルネスストレス低減法(MBSR)」とは?

「マインドフルネスストレス低減法(MBSR)」とは、1970年代から大学や医療現場で取り入れられているプログラムです。

8週間の学びと実践を行うことで、ストレスが心身に与える影響を尻、対処法を身に着けていきます。マインドフルネスを日々の生活に取り入れることで、メンタルヘルスの不調を予防することにつながるのです。

仕事や家族意外のコミュニティーに参加するのも効果的

家族や職場でのコミュニケーションが希薄な方は、趣味を通して人との関わりを増やしてみてください。

趣味に関連したサークルやコミュニティに所属するのもおすすめです。オンライン上だけだとしても会話が増えることで、孤独感が減って血糖値の上昇が起こりにくくなる可能性があります。

孤独は病気リスクを高める!人付き合いが苦手な人はマインドフルネスを取り入れてみて

孤独による慢性的なストレスは心身に影響し、とくに「2型糖尿病」の発症リスクを高めることが分かりました。

人付き合いが少なく孤独感を感じている方は、友達と連絡を取り合ったり、趣味の仲間を作ったりしてコミュニケーションを増やしましょう。どうしても人付き合いが苦手な方は「マインドフルネス」「ヨガ」などの心身プラクティスを取り入れて、血糖値が低下するような日常を意識してみてください。

当社では、2022年12月から始まる「マインドフルネスストレス低減法(MBSR)」の受講生を募集しています。オンラインで学べる講座でフォローアップが充実しており、仲間と一緒に学べる講座です。

「マインドフルネスストレス低減法(MBSR)」は、世界中の大学や医療現場で実績があります。日本語かつオンラインで学べる貴重な機会ですので、心身の健康増進のためにもぜひご参加ください。

この記事を書いた人 医師 山下あきこ

1974年、佐賀県生まれ。二児の母。内科医、脳神経内科専門医、抗加齢医学専門医、医学博士。アメリカ神経学会会員でもある。1999年…

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