シャツをズボンに入れると熱中症リスクが上がる?シャツイン強制の問題点とは?
学生のとき「シャツをズボンに入れなさい」と厳しく指導された経験がある方も多いのではないでしょうか?
しかし、シャツをズボンの中に入れると、体に熱がこもってしまうもの。近年では「シャツインが熱中症リスクを上げる」というデータに基づき、問題提起をしている教育者の発信がSNSで話題になりました。
そこで今回の記事では、医師のDr.あきこが「夏場の服装ルールに関する問題点」について解説します。学校・職場の制服や規則に疑問を感じている方も、ぜひ最後までチェックしてみてください。
目次
シャツをズボンに入れると体温が上がる
運動をするとき、あなたはシャツをズボンに入れますか?
実は、シャツをズボンに入れると体温は上がります。外気温や湿度が高いときは、「シャツイン」によって熱中症のリスクが高まるので注意が必要です。
「シャツイン」強要に対する問題提起がSNSで話題に
2022年8月初旬、高校でサッカー部の指導をしているコーチが「シャツイン」強制に対しての問題提起をTwitterに投稿し、話題になりました。
生徒たちは先生に促され、試合中まできちんと「シャツイン」していたそうです。暑さで倒れそうになりながらも、伝統的なルールをしっかりと守っていました。
しかしこのコーチは「伝統は尊重しますが、もっと大事なことがある」といいます。練習や試合中に熱中症になって、選手に何かあってからでは遅いということです。
「シャツイン」強制は熱中症リスクを高める
シャツをズボンに入れると、シャツをズボンに入れないときと比べて体温が4度も上がることが分かっています。
これを実証したのは、群馬県前橋市内の中学校で理科を担当する富田尚道教諭です。2018年の6〜7月、「シャツイン」「シャツアウト」の生徒を運動前後にサーモグラフィーカメラで撮影して比較しました。
▼運動2分後の上半身の体温 ・シャツインの中学生……30〜34度 ・シャツアウトの中学生……27〜31度 |
シャツをズボンから出すと、下から熱を逃がせるので熱がこもりにくいと考えられるでしょう。
富田教諭は2018年8月上旬、高崎市内で開催された理科教育の民間組織「科学教育研究協議会」の全国研究大会でこの結果を発表されたそうです。この結果を説明した動画は、Youtubeでも配信されています。
職場の服装ルールにも共通する問題点
職場の服装については「クールビズ」が浸透し、ビジネスパーソンは以前と比較すると過ごしやすい服装で出勤しやすくなりました。
しかし未だに、職場の服装ルールには問題点が多くあるようです。
例えば真夏の暑い日差しの中、長袖ワイシャツの上にスタッフTシャツを重ね着して、汗だくになりながら働く方を見かけることがあります。エアコンの効いた室内ならともかく、炎天下の屋外作業であれば、もっと軽装での作業を推奨するべきではないでしょうか?
9月までは、熱中症での死亡事故が起こる時期です。少し気温が涼しくなってきたからといって、油断せずに熱中症対策を続けていく必要があります。
「慣習」と「安全」のどちらを優先するべきか
私たちは、地球温暖化によって気温が上がり続ける中で生きています。
伝統や慣習を重んじることも素晴らしいのですが、ときには安全を優先する選択が求められるでしょう。現場で声を上げたサッカー部のコーチや、群馬県の富田教諭のように、勇気ある発信や行動に目を向けることも大切です。
熱中症は室内でも起こることがあり、症状が悪化すると死に至ることもあります。日本の高温多湿な夏を乗り切るために、時代に合った熱中症対策を心がけていきましょう。
シャツをズボンに入れると熱中症のリスクが上がる!
「シャツイン」のスタイルは、きちんとした印象を作ってくれるかもしれません。
しかし高温多湿で熱中症のリスクがある季節は、「シャツアウト」のときと比べて体温が4度も上がってしまうので要注意。伝統や慣習で「シャツイン」がルールになっていたとしても、ときには勇気を持って「シャツアウト」の必要性について声を上げる勇気を持つことも必要です。
夏場の長袖ワイシャツやジャケット、ネクタイ着用を義務化している職場も、安全面に問題があるかもしれません。従業員の安全を一番に考え、快適に過ごせる服装を提案することがパフォーマンス向上や業績アップにつながるはずです。
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