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痛風がつらすぎる!尿酸値を下げる効果が期待できる飲み物はある?

「健康診断で尿酸値を指摘された」「痛風発作がつらい!」など、高尿酸血症や痛風に悩んでいませんか?

「痛風」の発作を発症した方はあまりの激痛に耐えられず、日常生活に支障が出ているかもしれません。しかしビールやお酒が大好きな方は、なかなかやめられなくて困っているのではないでしょうか。

そこで今回は、医師がさまざまなエビデンスをもとに「尿酸値を下げる飲み物」について紹介します。痛風の基礎情報から改善策まで簡潔にお伝えしますので、ぜひ最後までチェックしてみてください。

目次

「痛風」とは?

 「痛風」とは、風が吹いても痛いという意味からきている病名です。

「痛風」を発症すると、足の親指の付け根や関節などに痛みの強い発作を起こします。よくお酒を飲む男性に発症しやすく、女性が発症するのは稀です。

尿酸値が高いと「痛風」を発症しやすくなる

健康診断で「尿酸値が高い」と指摘されたことはありませんか?

尿酸の数値が高い「高尿酸血症」の状態が続くと、「痛風」を発症しやすくなります。「高尿酸血症」とは、血液中の尿酸が7.0mg/dlを超えると診断される症状です。

▼痛風を発症する流れ

①尿酸が体内で作られすぎる
②尿酸をうまく排泄できない
③尿酸が血液中に溶けきれないほど高濃度になる
④尿酸が針のように尖った結晶になる
⑤関節などで強い痛みを引き起こす

「痛風」を発症するのは95%が男性

「痛風」を発症するのは、95%が男性です。

以前は「ぜいたく病」といわれてきましたが、今は一般的な病気になりつつあります。なんと30代男性の30%以上が「高尿酸血症」の状態であり、「痛風」の予備軍となっているのです。

一方、女性は女性ホルモンによって尿酸値がコントロールされるため、「高尿酸血症」や「痛風」は男性よりも少ない傾向にあります。ただし、女性ホルモンの分泌が低下する閉経後には、女性でも「痛風」を発症する方がやや増加するので注意が必要です。

「痛風」による健康リスク

「高尿酸血症」や「痛風」は、関節が痛くなるだけではありません。

▼高尿酸血症や痛風による健康リスク

・肥満
・高血圧
・脂質異常症
・糖尿病
・動脈硬化
・脳梗塞
・心筋梗塞

上記の通り生活習慣病との合併率が高く、最悪のケースでは健康寿命の短縮や早期脂肪のリスクにもつながる大変深刻な問題です。「飲みすぎ」「太り過ぎ」と軽く受け止められる傾向にありますが、決して軽視できるものではありません。

尿酸値が高くなる理由

「高尿酸血症」「痛風」を引き起こす尿酸は、「プリン体」が分解されて作られる物質です。

食品の「プリン体」から作られる尿酸は、全体の20%程度といわれています。残りの80%は細胞の代謝やエネルギー代謝など、体内で作られるものです。

尿酸は1日に約700mgほど作られますが、健康的な状態を保っている方なら同じ量が排泄されるので問題ありません。しかし尿酸が作られすぎたり、排泄ができなかったりする問題が起こると、血液中の尿酸値が高くなってしまうのです。

尿酸値を下げる効果が期待できる飲み物とは?

尿酸値を下げるためには、お酒を控えて生活習慣を整えることが大切です。さらに、ある飲み物を飲むことで尿酸値を下げる効果が期待できることも分かってきました。

牛乳や乳製品は尿酸値を下げる効果が期待できる

牛乳をはじめとする乳製品を多く摂取する人は、そうでない人に比べて「高尿酸血症」になりにくいという研究結果があります。

牛乳に含まれる「カゼイン」は、胃腸で「アラニン」という物質に変化します。この「アラニン」は、尿酸の排泄をサポートする働きがあるようです。

1日あたり240ml程度の牛乳を飲むと、尿酸値を下げる効果が期待できます。1ヶ月あたりの牛乳の摂取量が1杯未満の方と比較すると、「痛風」の発作を起こす確率が43%下がっていたそうです。

この研究結果から、1日1杯程度の牛乳を飲むのが痛風予防のために効果的と考えられるでしょう。

出典:Hyperuricemia and associated factors: a cross-sectional study of Japanese-Brazilians

コーヒーにも痛風発作を抑える可能性がある

別の研究では、コーヒーを飲むことで「痛風」発作を抑える可能性があることも示唆されています。

ただし現段階では、コーヒーと「痛風」リスク低下のエビデンスが不十分です。

コーヒーが好きな方は、嗜好品として楽しみながら習慣を続けるとよいですね。しかしコーヒーがあまり得意でない方は、尿酸値を下げるからといって無理に飲む必要はないでしょう。

出典:Is coffee consumption associated with a lower risk of hyperuricaemia or gout? A systematic review and meta-analysis

炭酸水に尿酸値を下げる効果はない

健康のために、炭酸水を飲んでいる方も多いのではないでしょうか?

しかし残念ながら、炭酸水に尿酸値を下げる効果はありません。炭酸水はpHが低く酸性の飲み物なので、尿酸にとっては逆効果の可能性もあります。

ただし酸性の飲み物を飲んだからと言って、血液がすぐに酸性になるわけではありません。炭酸水が好きで飲んでいるなら、それほど摂取を制限する必要はないでしょう。

また、水分を多く摂取するという観点で考えると、炭酸水を多く飲むことで尿酸値が高くなるのを予防できるといえるかもしれません。しかしこれは炭酸水の効果ではなく、水をたくさん飲むことで得られる効果です。

プリン体ゼロでもアルコールなら尿酸値が上がる

尿酸値が高めの方は、「プリン体」が多いビールを控えている方も多いのではないでしょうか?

コンビニやスーパーなどでお酒のコーナーを見ると、「プリン体ゼロ」と表示されている蒸留酒があります。焼酎やウィスキーなど、蒸留酒なら飲んでもよいと思っている方も多いかもしれません。

もちろん「プリン体」が分解されて尿酸が作られるので、「プリン体」を多く含むビールを控えることは大切です。しかし「プリン体ゼロ」だとしても、アルコール自体に尿酸を上げる働きがあることも覚えておく必要があります。

つまり「プリン体ゼロ」だとしても、アルコールなら尿酸値が上がってしまうということです。尿酸値が高めの方は、普段からビールだけでなくアルコール自体を控えめにして、水分を多めに摂ることを心がけてみましょう。

尿酸値を下げる飲み物は牛乳!コーヒーも尿酸値を下げる効果が期待できる

尿酸値が気になる方は、1日1杯程度の牛乳を飲むようにしてみてください。

コーヒーも尿酸値を下げる可能性があるので、コーヒーが好きなら毎日飲むとよいでしょう。「プリン体」が多いビールやアルコール自体の摂取は控え、水を多く飲むようにすることで尿酸値を下げられます。

「特に肥満ではない」「飲酒習慣がない」「他の生活習慣病も全くない」という方で尿酸値だけ高い場合は、当日朝からの絶食で水分を全く摂っていないことが関係しているかもしれません。尿酸値に不安がある場合は、「痛風」を発症する前に医師に相談しながら生活習慣の改善に取り組んでみてください。

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この記事を書いた人 医師 山下あきこ

1974年、佐賀県生まれ。二児の母。内科医、脳神経内科専門医、抗加齢医学専門医、医学博士。アメリカ神経学会会員でもある。1999年…

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