「https://mindful-health.co.jp/info/wp-content/uploads/2022/08/24519716_s.jpg」のアイキャッチ画像 オミクロン株BA.5の特徴とは?潜伏期間・症状について医師が解説

オミクロン株BA.5の特徴とは?潜伏期間・症状について医師が解説

2022年夏、新型コロナウイルス(COVID19)の第7波が猛威を振るっています。

今回の感染拡大で主流になっているのが、オミクロン株の亜型「オミクロン株BA.5」です。新型コロナウイルスは変異を続けていますが、この「オミクロン株BA.5」にはどのような特徴があるのでしょうか?

今回の記事では、医師が「オミクロン株BA.5」の特徴について解説します。潜伏期間や症状、ワクチンの有効性についても触れていきますので、参考にしてみてください。

目次

オミクロン株BA.5の特徴とは?

 「オミクロン株BA.5」とは、感染力の強さが懸念されている新型コロナウイルスの変異種です。

日本国内では、2022年6〜7月にかけて「BA.2系統」から「BA.5系統」への置き換わりが進行したとみられています。7月末時点では90%を超えたと推測されており、第7波の感染拡大に影響しているようです。

オミクロン株BA.5は肺で増えやすい

「オミクロン株BA.5系統」は、肺(肺胞上皮細胞)で増えやすいという特徴があります

東京大学医科学研究所の佐藤佳教授らは、ヒトの肺の細胞を使って実験を行いました。すると「オミクロン株BA.5」は、「BA.2」に比べてウイルスが18.3倍に増えていたのです。

以前のハーバード大学の研究によると、オミクロン株は肺よりも上気道(鼻や喉)で増えやすいという結果が示されていました。しかし今回の報告から、「オミクロン株BA.5」は上気道より奥にある「肺」でウイルスが増殖することが分かったのです。

▼ウイルスが肺で増えるリスク

・肺炎になりやすい
・呼吸や席などでウイルスを拡散しやすい

「オミクロンBA.5」はデルタ株の「L452R変異」を持っており、この変異は肺で増えやすい特徴があります。さらに重症化しやすい特徴もあるため、感染を軽視せず対策を強化していくことが大切です。

※ただし、これらの結果は実験室における「肺細胞」や「マウス」での研究結果です。現時点では、可能性があるという範囲で捉える必要があります。

オミクロン株BA.5の潜伏期間は2〜3日

「オミクロン株BA.5」の潜伏期間は、2〜3日といわれています。

従来株の潜伏期間は約1週間だったので、短くなっているといえるでしょう。潜伏期間が短くなったのは、従来株よりもウイルスの増殖スピードが早くなっていることを意味しています。

オミクロン株BA.5の症状は高熱や倦怠感

「オミクロン株BA.5」の症状は、「BA.2」に比べて高熱や倦怠感が出やすいといわれています。

せき、たん、だるさがあるときは早めに休養しましょう。感染を広げないためにも、無理せず休むことを選択してください。

オミクロン株BA.5に対するワクチンの有効性

新型コロナウイルスの変異種に対しては、ワクチンの効果は得られにくいと考えられます。

なぜなら、ウイルスは変異を繰り返すたびに免疫回避(ワクチンに負けない感染力)を身に着けていくからです。

ハーバード大学の研究によると、「オミクロン株BA.5」は「BA.1」「BA.2」の1/3程度しかワクチンの効果が得られないと報告されました。

一方で、ポルトガルでは2022年5月に「オミクロン株BA.5」が大流行したのち、7月時点ではすでに収束してマスクなしの日常生活を送っています。収束が早かったのは、現地の高齢者が早めに4回めのワクチンを打ったことが影響しているのではないかと考えられているようです。

オミクロン株BA.5における注意点

「オミクロン株BA.5」の感染が拡大している中で、とくに注意したいポイントを解説します。通常通りの「手洗い・うがい」や「マスク」は継続しながら、感染症対策をさらに徹底していきましょう。

とくに重症化しやすい人の特徴

「オミクロン株BA.5」において、とくに重症化しやすい人の特徴が分かっています。

▼重症化しやすい人の特徴

・男性
・高齢者
・肥満
・心筋梗塞の既往歴がある
・脳梗塞の既往歴がある
・糖尿病がある

上記に当てはまる方は、体調の変化に気をつけてお過ごしください。少しでもせき、たん、だるさがあるときは無理せずお休みし、必要に応じて医療機関を受診しましょう。

換気や水分補給を徹底しよう

第7波が拡大しているのは2022年の夏で、猛暑が続く季節です。

暑いと冷房をつけるので、つい部屋を密閉してしまうことが多くなります。自宅や会社では、時間を決めてこまめに換気するようにしてください

また、免疫力を高めるためにはしっかりと水分補給を行うことも大切です。マスクをつけていると熱中症リスクも高まるので、こまめな水分補給で元気な身体を保ちましょう。

睡眠時間の確保で免疫力を高めよう

睡眠は、免疫力の維持には欠かせません。

どのような感染症でも共通することですが、睡眠時間をしっかりと確保して免疫力を高めることが大切です。

「寝付きが悪い」「途中で起きてしまう」など、睡眠の悩みがある方は筆者の著書「こうすれば、夜中に目覚めずぐっすり眠れる」も読んでみてください。この本を読むことで、薬に頼らずぐっすり眠れる方法が身につきます。

オミクロン株BA.5の特徴は感染力が強いこと!感染症対策を徹底しよう

新型コロナウイルスは変異を続け、なかなか収束しない状況にあります。

第7波における「オミクロン株BA.5」の感染が拡大する中で、私たちはより一層感染症対策を徹底していくことが大切です。「オミクロン株BA.5」は従来株よりも強い感染力が懸念されており、肺で増殖することから肺炎のリスクも高まります。

せき、たん、だるさなど体調の変化を感じたときは、無理せず休んで回復に努めてください。休日でも睡眠を大切にして免疫力を高め、感染症に負けない身体を作っていきましょう。

この記事を書いた人 医師 山下あきこ

1974年、佐賀県生まれ。二児の母。内科医、脳神経内科専門医、抗加齢医学専門医、医学博士。アメリカ神経学会会員でもある。1999年…

関連する記事