食前のプロテインが血糖値を下げる?糖尿病研究で分かったプロテインの効果
「筋トレ後にプロテインを飲んでる」「運動しないときはプロテインを飲まない」という方が多いのではないでしょうか?
そもそもプロテインとは「タンパク質」のことなので、筋トレや運動に関係なく身体に必要な栄養素です。肉や魚などが不足しているときは、栄養補助として取り入れることで健康を維持しやすくなります。
さらにプロテインを食前に摂ることで、血糖値を下げる効果があることも明らかになりました。そこで今回の記事では、糖尿病の研究で分かったプロテインの効果をエビデンスに基づいて解説します。
普段はプロテインを飲まない方も、肥満や血糖値が気になる方はぜひ最後までチェックしてみてください!
目次
食前にホエイプロテインを飲むと血糖値が下がる
2型糖尿病患者が食前にホエイプロテインを飲むと、平均血糖値が下がる可能性があるという研究結果が発表されました。(2022年5月/英国ニューカッスル大学)
▼研究された内容 ・糖尿病の参加者を2つのグループに分けた ・一方のグループに朝食・昼食・夕食の各10分前にホエイプロテインを摂取させた ・一方のグループはホエイプロテインを摂取せずに同じ内容の食事を摂らせた |
上記の研究を一週間続けたのちに血糖値を測定しました。
すると、食前にホエイプロテインを摂取したグループは血糖値が正常になった時間が1日あたり2時間も増えたそうです。さらに24時間あたりの血糖値は、ホエイプロテインを摂取しなかったグループに比べて平均10.8mg/dLほど低下していました。
血糖値を下げるホルモン「インクレチン」が分泌される
ホエイプロテインを摂取すると、小腸から「インクレチン」というホルモンが分泌されます。
「インクレチン」とは、上昇した血糖値を低下させるために役立つホルモンです。
腸管から「インクレチン」が血中に分泌されると、血糖値を下げるホルモン「インスリン」の分泌を促します。さらに血糖を上げるホルモン「グルカゴン」の分泌を抑制するため、血糖値の急上昇が防げるのです。
「インクレチン」は「GLP-1」と「GIP」の2種類がある
現段階で知られている「インクレチン」は、「GLP-1」と「GIP」の2種類があります。
「GLP-1」は主に小腸から分泌されて、膵臓からの「インスリン」分泌の増加を促すホルモンです。さらに膵α細胞から「グルカゴン」が分泌されるのを抑制し、血糖値上昇を防ぎます。
「GIP」も主に小腸から分泌され、膵臓からの「インスリン」分泌を促進するホルモンです。「GIP」は「GLP-1」よりも数倍の強さがあり、血糖値を低下させる働きがあります。
近年では「インクレチン」関連薬が開発され、糖尿病の治療にも使われています。
「インクレチン」は食欲を抑える効果も期待できる
「GLP-1」は、食欲を抑える効果があることも分かっています。
食べ物が胃から腸へ移動するのを遅らせ、食欲を抑える作用で食べ過ぎを自然に防いでくれるのです。
「食事をつい食べすぎてしまう」「おやつがやめられない!」という方は、ホエイプロテインを取り入れてみてください。すると「GLP-1」が分泌されて、食べたい気持ちを抑えやすくなるでしょう。
「インクレチン」を利用したのがGLP-1ダイエット
近年、肥満改善のために「GLP-1ダイエット」という痩身法が話題になっています。
これは「インクレチン」を注射や錠剤で体内に入れ、血糖値の上昇や食欲を抑える方法です。ただし美容目的の場合は保険適用外なので、「GLP-1ダイエット」の費用は高額な傾向にあります。
「インクレチン」は、食前のホエイプロテイン摂取によって分泌を促すことが可能です。あえて高額な治療を利用しなくても、「GLP-1」による血糖値抑制や肥満改善できると考えられるでしょう。
血糖値の上昇は糖尿病の人だけの問題ではない
血糖値というと、糖尿病の人だけに関係するものと考えている方も多いのではないでしょうか?
しかし、血糖値の上昇は美容や健康にも大きく影響することが分かっています。今はまだ糖尿病ではない方も、血糖値が上昇しないような食生活を心がけることが大切です。
糖質の摂りすぎは肥満やさまざまな不調の原因に
糖質の摂りすぎによって、さまざまな不調が引き起こされています。
▼糖質の摂りすぎが原因で起こること ・脂肪肝 ・肥満 ・メンタル不調 ・疲労 ・アレルギー |
糖質の摂りすぎによって血糖値の乱高下が繰り返されると、身体にさまざまな不調が起こります。
「ちょっと太ってきた」「心が不安定」という方も、糖質の摂りすぎが原因かもしれません。身体が疲れやすかったり、アレルギー体質だったりする方も、糖質を控えることで症状を抑えられる場合があります。
食べる順番の工夫だけでも血糖値上昇を緩やかにできる
食事のはじめに野菜とタンパク質を食べるだけでも、血糖の上昇を抑制する効果が期待できます。
「プロテインは苦手」「乳製品(ホエイ)は苦手」という方は、食べる順番を変えてみてください。
野菜やタンパク質を先に食べることで空腹感も抑えられるため、食べ過ぎに悩まない1日を過ごせるようになります。将来の健康状態をよくすることにもつながるので、ぜひ今日から実践してみてください。
食前のホエイプロテインや食べ順の工夫で血糖値を抑えよう
糖尿病の方の研究で、食事10分前にホエイプロテインを摂取することで「インクレチン」というホルモンの分泌が促されることが分かりました。
「インクレチン」は血糖値上昇の抑制や、食欲を抑制させる作用があるホルモンです。「炭水化物や甘い物がやめられない」「つい食べすぎてしまう……」と悩んでいる方は、食前にホエイプロテインを取り入れてみるとよいでしょう。
糖質の摂りすぎは太りやすくなるだけでなく、心と身体のさまざまな不調につながります。現段階では糖尿病や肥満ではない方も、将来の健康を守るために血糖値を意識した食生活を心がけましょう。