血圧の測り方とは?正確な数値を測定するために覚えておきたい10個のポイント
「健康診断で血圧を測るとき、いつも緊張してしまう」「自宅の血圧計で測ると、病院よりも高い数値が出る」など、血圧測定に関して疑問に思われたことはありませんか?
確かに、血圧は測定前の行動やメンタルの状況によって誤差が出やすい検査です。正しい測り方を覚えておかないと、正常な血圧なのに「高血圧」と診断されるかもしれません。
そこで今回は、医師が「血圧の測り方」について解説します。
目次
誤差が出にくい!血圧の測り方10個のポイント
血圧は、測り方によって実際の数値よりも高くなってしまう場合があります。正常なのに高血圧と診断されないよう、正しい測り方のポイントを押さえておきましょう!
1. 身体のサイズに合ったカフを用意する
血圧計を用意するときは、自分の身体のサイズに合ったカフを用意するようにしてください。
カフとは、血圧測定時に上腕に巻くものです。空気を送り込んでふくらませることで、血管を圧迫して血流を調整するために用いられます。
2022年3月に発表された米国ジョンズホプキンス大学医学部の報告によると、身体よりも小さいサイズで血圧を測定すると、平均19mmHgも血圧が高く測定されるそうです。とくに身体が大きい人は、大きいサイズのカフを用意するとよいでしょう。
2. 測定前にトイレを済ませておく
トイレを我慢していると、血圧は高くなります。
トイレに行きたいと感じたら、排泄してから血圧を測るようにしてください。健康診断のときは、事前にトイレを済ませておきましょう。
3. 測定前に1〜2分安静にする
血圧を測る前は、1〜2分静かに座って安静にしましょう。
自宅で血圧測定するとき、慌てていると血圧が高くなります。病院で血圧を測るときも、急いでいたり焦っていたりすると血圧が高くなるので注意してください。
運動習慣のある人は血圧が下がるのですが、血圧測定直前のバタバタや焦りで交感神経が活発になり、血管が収縮してしまう場合があります。少しの時間でもいいので、ゆっくり座って心を落ち着けることが大切です。
4. 厚手の上着は脱いでおく
血圧測定時のカフは、ひじから上の上腕に巻きつけます。
厚手のジャケットやセーターを着用したまま無理にまくりあげると、血圧が上がるので注意してください。厚手の上着は脱ぎ、できるだけ締め付けの少ない服装で測定するのがベストです。
5. 脚を組まずに座る
足を組んだ状態で血圧を測ると、2〜8mmHgほど高くなる可能性があります。
足を組むのが癖になっている人は、座り方に注意してください。血圧測定時は両足の裏を床につけるようにし、まっすぐな姿勢で測るのがおすすめです。
6. 椅子の背もたれによりかかる
背もたれがある椅子の場合は、背もたれに寄りかかって測りましょう。
血圧計に腕を入れると、つい前かがみになってしまいがちです。前かがみの姿勢で血圧を測ると、6〜10mmHgほど血圧が高くなってしまう可能性があります。
背もたれがない椅子の場合は、椅子を机の「前」ではなく「横」に置いてみてください。横向きであれば前かがみになりにくく、正常な数値を測りやすくなります。
7. カフの位置を心臓の高さに合わせる
「手首式」でも「上腕式」でも、カフの位置は心臓の高さに合わせましょう。
心臓よりカフの位置を下げて測ると、実際よりも高い数値が表示されてしまいます。「手首式」の血圧計は誤差が出やすいと言われていますが、これは手首に巻きつけたカフの位置がずれやすいことが1つの原因です。
「上腕式」の場合でも、腕が下がってしまうことはよくあります。椅子と机の高さも調整しながら、できるだけ心臓の高さに合わせるように意識してみてください。
8. 手のひらは上にして脱力する
血圧を測るとき、手のひらは上向きにします。
手のひらはギュッと握らず、ゆったりと力を抜いた状態で測りましょう。
9. 測定中は会話をしない
血圧測定時、おしゃべりをしていると5〜10mmHgほど血圧が高くなる可能性があります。
病院で血圧測定するときは話が止まらなくなってしまうこともありますが、血圧測定時はじっと黙っておきましょう。自宅で血圧を測るときも家族とおしゃべりをしないように、1人になれる場所で測定するのがベストです。
10. 食事・入浴・飲酒直後の測定は避ける
食後や飲酒直後、入浴後は血管が広がるため、血圧を正しく測れない場合があります。
血圧測定するときは、それぞれ1時間ほど時間をおいてから測るようにしてみてください。夜に血圧を測る場合は、寝る前に血圧を測るようにするとよいでしょう。
また、食事・飲酒・入浴と合わせて降圧剤を飲むと、血圧が下がりすぎて倒れることもあります。血圧測定時と合わせて、降圧剤を飲んでいる方にも注意したいポイントです。
自宅で血圧測定するときの3つのポイント
自宅で血圧をモニタリングしたいと思ったとき「いつ測ればいいの?」「どれくらいから高血圧?」など気になる点もありますよね。ここからは、自宅で血圧測定するときの3つのポイントを紹介します。
①朝・夜の2回測定する
自宅で血圧測定するときは、朝と夜の2回測りましょう。
時間は、できるだけ毎日同じ時間に測るように意識してみてください。
朝は起床後1時間以内で、排尿した後に血圧測定するのがおすすめです。降圧剤を飲んでいる方は、朝起きてから降圧剤を飲む前に測定するとよいでしょう。
夜は夕食後や飲酒直後、入浴後を避けて寝る前に測るのがおすすめです。毎日同じ時間に血圧を測るようにすることで、生活リズムも整いやすくなります。
②血圧手帳に記録する
自宅で血圧を測ったら、「血圧手帳」に記録することをおすすめします。
血圧は、1回高かったからといってすぐに何かが起こるというわけではありません。毎日血圧を測っている中で、高血圧が続いていくうちに血管の内壁が傷ついて、動脈硬化が進行していきます。
そして、気付かないうちに脳血管が詰まって脳梗塞になったり、心臓の血管が詰まって心筋梗塞が起こってしまうのです。腎臓の血管が詰まったら、腎機能障害になります。
健康診断で高血圧が気になったら「たまたまだ」と現実逃避をせず、自宅で毎日の血圧をモニタリングしましょう。血圧計を購入するときは、カフのサイズが身体に合うものを選んでみてください。
③高血圧が続くときは医師に相談する
自宅で血圧測定をしていて、数値が常に135/85を超えるようなら高血圧の可能性があります。
高血圧ではないかと思ったら、血圧手帳を持って早めに内科の医師に相談してみてください。高血圧の影に病気が隠れている場合もあるので、必ず医師に診てもらいましょう。
「少し血圧が高くなってきた」という段階であれば、セルフケアでも十分に改善効果が期待できます。運動不足や食べすぎ、塩分過多、睡眠不足やストレスなど……高血圧の原因を多方面から見つけ出し、改善に取り組んでみてください。
血圧の測り方にはコツがある!まずは身体に合ったサイズの血圧計を用意しよう
血圧は誤差が出やすく、ちょっとした焦りや姿勢の変化によって高い数値が出てしまいます。
自宅で測るときも、病院で測るときも、今回お伝えした10個のポイントを押さえておくことが大切です。
それでも高血圧が気になるような数値が続く場合は、できるだけ早めに医師に相談してみてください。高血圧の裏に重大な病気が隠れていることもあるので、油断することなく早めに対処して、安心して過ごせる毎日をめざしましょう!