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死亡リスクを下げる歩数とは?大規模調査で分かったウォーキングの健康効果

テレワーク(リモートワーク)の広がりによって、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方ができるようになりました。

しかし、通勤しない生活によって運動不足になっている人も多いのではないでしょうか?通勤なしのデスクワーク生活では、1日の歩数が2000歩に満たないこともあるようです。

歩数が減ると太りやすくなるだけでなく、死亡リスクまで上がってしまうことが分かっています。そこで今回の記事では「大規模調査で分かったウォーキングの健康効果」について解説していきます。

目次

ウォーキングで死亡リスクが下がる

みなさんは、日常生活の中で1日にどれくらい歩いているか意識していますか?

スマートフォンについている歩数計やウェアラブルデバイスをチェックして、毎日の歩数を確認してみてください。平均歩数が7000歩以下の人は、死亡リスクが高まる可能性があるので注意が必要です。

1日7000歩で死亡リスクを下げられる

2022年3月に発表されたマサチューセッツ大学の調査によると、1日あたり7000歩以上のウォーキングで死亡リスクを下げられることが明らかになりました。

15の研究と約5万人のデータ分析によって、毎日の歩数と疾患リスクの関係をまとめた調査結果です。

▼死亡リスクが下がる歩数

・60歳未満 1日8000〜10000歩
・60歳以上 1日6000〜8000歩

つまりどの年代でも、1日に7000歩以上を目安にウォーキングすると死亡リスクを下げられるということです。ご自身の年齢や体力に合わせて、無理のない範囲で1日の歩数目標を設定してみてください。

歩数は多ければ多いほどいいわけではない

歩数は、多ければ多いほどよいというわけではないようです。

日本では古くから「万歩計」という機械があり、その名前の影響で1日あたり1万歩以上歩くことが健康によいと思われてきました。しかし1万歩以上歩いたとしても、健康へのメリットは追加されなかったのです。

日頃の運動量が少ない人は、1日7000歩だけでも多くの疾患を予防できます。1日1万歩は難しくても、7000歩くらいなら無理なく達成しやすい目標です。

 死亡リスクを下げる歩き方のコツ

 「駅やコンビニまで歩いてみよう」「家の周りを散歩しよう」など、軽い歩行だけでも健康アップに効果的です。毎日の歩数を少しずつ増やすことで、ストレスなくウォーキングを習慣化できます。

 1日あたり約17分のウォーキングを毎日続ける

死亡リスクを下げるためには、1日あたり約17分間のウォーキングが効果的であることがわかりました。

2017年に、米国がん学会が14万人を対象に行った研究によって得られたデータです。

1週間あたり120分未満のウォーキングをしている人と、全くウォーキングをしない人を比較しました。すると、ウォーキングしない人は死亡リスクが26%も上昇していたのです。

7日間で120分未満なので、1日あたり約17分という計算になります。毎日17分程度なら、家の周りを軽く散歩するだけでも達成できそうです。

散歩程度の緩やかなウォーキングでOK

ウォーキングというと「速歩きをしないと効果がない」と思っている人が多いのではないでしょうか?

しかしマサチューセッツ大学の研究によると、参加者の歩行速度は4.8km/時でした。この速度は、日常生活で一般的な歩行速度と同じです。

よくお店や物件の案内に「駅から◯分」などと表示されますが、この基準となる速度が4.8km/時となっています。つまり速歩きをしなくても、普通の速度で歩けばウォーキング効果が得られるのです。

運動が好きで習慣化できそうなら、もちろん「姿勢よくハイスピードで20分以上ウォーキングしよう」という目標でOK。しかしストイックな目標を立てても途中で挫折し、ウォーキングをやめてしまったら意味がありません。

運動習慣がなかなか続けられない人は、普通の速度でいいので歩数を増やすところから始めましょう。速歩きでなくても、ゆるやかなウォーキングを継続することで健康に差がでてくるはずです。

ウォーキングの健康効果

推奨の運動量に満たなくても、ゆるやかなウォーキング習慣を身につけることで健康に大きなメリットが得られます

▼ウォーキング習慣によるメリット

・心疾患による死亡リスク20%減
・がんによる死亡リスク9%減
・糖尿病の予防や改善
・肥満の予防や改善
・うつ症状の予防や改善
・認知症のリスク減

ウォーキングをすると脳内で「エンドルフィン」というホルモンが分泌されて、気分の高揚や幸福感をもたらします。さらに、鎮痛効果が得られることも分かっているのです。

1日あたり2000歩ほど多く歩くだけでも100kcalを消費し、脂肪燃焼による体重減が期待できます。てきとうな歩き方でも、短時間でもいいので、歩く習慣をやめないようにしてみてください。

気合を入れなくてもOK!1日17分の軽い散歩習慣が死亡リスクを下げる

ゆるやかなウォーキングは、年齢を重ねても無理なく続けやすい運動習慣です。

わくわくできるコースを散策したり、新しい道を見つけたりしながら、ウォーキングを続けてみてください。楽しみながら歩けば、7000歩や約17分のウォーキング目標は簡単にクリアできるはずです。

雨の日や外出しにくいときは、家の中で軽く歩くだけでもウォーキング効果が得られます。楽しみながら1日7000歩を目指し、いつまでも元気でいられる身体をつくりましょう。

この記事を書いた人 医師 山下あきこ

1974年、佐賀県生まれ。二児の母。内科医、脳神経内科専門医、抗加齢医学専門医、医学博士。アメリカ神経学会会員でもある。1999年…

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