痩せているのに血糖値が高いのはなぜ?血糖値を下げる方法はある?
糖質制限ダイエットの流行や健康志向の高まりによって、血糖値を気にする人が増えてきました。
しかし一方で、もともと痩せ型の人は「私は痩せているから関係ない」「痩せているから血糖値は低いはず」と思っていませんか?
実は、痩せ型の若い女性ほど食後高血糖になりやすいという研究結果が出ているのです。この記事では論文に基づき、医師の山下あきこが「体型と血糖値」について簡単に解説していきます。
目次
血糖値が上がりやすい人の体型とは?
「血糖値が高い人」をイメージするとき、肥満気味の体型を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか?
「私は太ってないから大丈夫」と思い込んで、食事内容に気をつけていない人は要注意。実は、痩せ型の人の方が食後高血糖になりやすいという研究結果が明らかになっています。
痩せていても血糖値が低いとは限らない
日本人の痩せた若い女性は、標準体重の人に比べて「耐糖能異常」の割合が約7倍高いという研究結果があります。
「耐糖能異常」とは、インスリンというホルモンの不足や作用低下が原因で、食後血糖値の上昇を押さえる働きが低下している状態のこと。分かりやすくいうと、食後の血糖値が上がりやすくなっている状態です。
研究では「標準体重の若い日本人女性56人」と「低体重の若い日本人女性98人」を対象に、耐糖能レベルのテストを行いました。
▼耐糖能レベルのテスト結果 ・標準体重の若い日本人女性…1.8%が耐糖能異常だった ・低体重の若い日本人女性…13.3%が耐糖能異常だった |
研究の結果「低体重の若い日本人女性」の方が耐糖能異常の割合が約7倍も高いことが明らかになったのです。
「米国の肥満女性」の耐糖能異常の割合は10.6%でした。つまり「米国の肥満女性」よりも「日本の痩せた若い女性」の方が食後高血糖になりやすいということです。
痩せ型の女性は血糖値に気をつけよう
「低体重の若い日本人女性」は食事量が少なく、運動量も少ない人が多くなっています。
そのため骨格筋が少なく代謝が低下して、エネルギー低回転タイプになっているようです。解析によると、痩せている女性はインスリン分泌が少なく、インスリン抵抗性が高いことが明らかになりました。
海外に比べて、日本人は痩せていても糖尿病リスクが高いことが分かっています。「痩せているから大丈夫」と油断せず、バランスのとれた食事と運動に気を配って健康的な生活を維持することが大切です。
血糖値が高い人の対処法
健康的ですっきりとしたスタイルを保つためには、運動習慣と栄養バランスを管理することがとても重要です。
血糖値が高くなりやすい痩せ型の女性も、きちんと対策することで食後高血糖を抑えられます。標準体重や肥満気味の人も自分の健康を過信せず、健やかな生活習慣を身につけましょう。
食後10分間のウォーキングが血糖値を下げる
血糖値を下げるには、食後10分間のウォーキングが効果的です。
食後の10分ウォーキングで、血糖値は平均12%下がることが分かっています。夕食は炭水化物や糖質が多くなりやすいため、平均22%も血糖値を下げられたそうです。
さらに、1分間に100歩ペースで歩くと、血圧低下や肥満改善にも効果的であることが分かっています。テレワークやデスクワークなど、座りっぱなしで運動量が少ない人は少しずつ歩く習慣を作ってみてください。
栄養バランスのよい食事を心がける
血糖値が高めだからといって、過剰な糖質制限をする必要はありません。
糖尿病の人でも、栄養バランスのよい食事をするのが基本です。禁止食品はなく、炭水化物・たんぱく質・脂質・ビタミン・ミネラルが過不足ないように食べることが推奨されています。
食べる量は、腹八分目を意識してみてください。食べる量が少なければ少ないほどいいのではなく、生きるために必要な適正量をきちんと食べることが大切です。
さらに薄味を意識し、食塩の摂取を控えることで高血圧を予防できます。脂身の多い肉や加工肉などを減らし、野菜・きのこ・海藻などの食物繊維を1日20〜25gほど摂取するのが効果的です。
つまり、好き嫌いなく腹八分目に食べるという当たり前の食習慣が健康につながるということ。現在の食事内容を見直して、修正できるポイントを見つけてみてください。
「痩せているから大丈夫」ではない!痩せ型の女性ほど高血糖に注意しよう
日本人の若い女性の多くは、痩せていれば痩せているほど美しいという価値観を持っています。
しかし、痩せたいからといって食事量を減らしていると、食後高血糖になりやすい体質を作ってしまうでしょう。40歳以下の低体重の女性ほど2型糖尿病のリスクが高いことも分かっているので注意が必要です。
「痩せているから大丈夫」と油断せず、血糖値をコントロールして健康的な美しさを手に入れましょう。栄養バランスのよい食事と適度な運動習慣を取り入れて、心も身体も軽やかな状態をめざしてみてください。