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血糖値が高いと骨折しやすくなる?いつまでも骨を強く保つ方法とは?

「血糖値が高いと骨が弱くなるって本当?」「骨粗しょう症を予防したい!」と考えているのではないでしょうか。

実は、血糖値が高い状態が続くと骨がもろくなる可能性があります。普段から炭水化物や甘いものをよく食べている人は、気付かぬうちに骨粗しょう症へ近づいているかもしれません。

そこで今回の記事では、医師が「血糖値と骨」について解説すします。骨を丈夫に保つ方法についても解説するので、ぜひ最後まで呼んで参考にしてみてください。

目次

血糖値が高いと骨折しやすくなる

国際骨粗鬆症財団(IOF)によると、日本における骨粗鬆症の有病者数は1,100万人にのぼると推定されています。転んで骨折する話を、他人事と思っている場合ではありません。

インスリンには骨芽細胞を増やす働きがある

食事中の炭水化物などが消化吸収されてブドウ糖になると、血液に入って血糖値が上昇します。

血糖値が上がると、血糖値を安定させるためにすい臓から分泌されるホルモンが「インスリン」です。「インスリン」によってブドウ糖はエネルギー減に変換され、余ったブドウ糖はグリコーゲンや中性脂肪に変換されて蓄えられます。

血糖値を一定に保つ「インスリン」ですが、実は骨の維持にも重要なホルモンです

「インスリン」には、骨を形成する「骨芽細胞」を増やす働きがあります。そのため「インスリン」が出ない状態になると、骨はどんどんもろくなってしまうのです。

高血糖が続くとインスリンが出にくくなる

血糖値が高い状態が続くと、すい臓は繰り返しインスリンを出さなければなりません。

すると、次第にインスリンの感受性が下がってしまうのです。

現代の日本人は、運動不足や肥満によってインスリンの感受性が低下している人が多い傾向にあります。インスリンの分泌低下は骨をもろくするだけでなく、糖尿病になるリスクも高まるため注意が必要です。

糖尿病の人は骨折リスクが約1.5倍も上がる

糖尿病があってHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)の数値が7.5以上の人は、骨折のリスクが1.47倍に上がります。

つまり、血糖値が高いと骨折しやすくなるのです。

「私は糖尿病じゃないから大丈夫」と安心している場合ではありません。糖質が高い食べ物をよく食べている人は、インスリン感受性が下がって骨がもろくなる可能性があります。

骨を強く保つ方法

骨を強く保つためには、血糖値のコントロールを行うことが大切です。さらに運動による骨への刺激や日光浴、栄養補給や睡眠も健やかな骨を保つためには欠かせません。

血糖値をコントロールする

必要以上に炭水化物や甘いものを食べると、食後の血糖値は急上昇してしまいます。

食事は栄養素(炭水化物・たんぱく質・脂質・ビタミン・ミネラル)をバランスよく摂り、腹八分目になる量を心がけましょう。塩辛い味付けや脂身の多い肉などは減らし、野菜・きのこ・海藻などの食物繊維を多く摂るのがおすすめです。

甘いお菓子やジュースなど、砂糖を多く含むものはできるだけ避けてください。どうしても間食したいときは、低糖質・低脂質のヨーグルトやビタミン・食物繊維が豊富な果物を少量食べるようにしましょう。

運動習慣を身につける

骨に物理的な刺激が加わると、微量の電流が骨に伝わって強さが増すといわれています。

スポーツ選手の骨密度は、一般の人よりも高い傾向にあるのです。物理的な刺激が大きい運動を習慣的に行っている人ほど、骨密度は高くなります。

▼骨に刺激が加わる運動

・ウォーキング
・ジョギング
・筋力トレーニング

骨を強くするためには、ウォーキングやジョギングなど重力のかかる運動がおすすめです。軽いダンベルを持った「パワーウォーキング」など、少し負荷を高くしたウォーキングも効果的と考えられます。

また、骨は腱を介して筋肉へと繋がっているため、筋力トレーニングも骨に直接刺激が加わります。筋力トレーニングはウォーキングやジョギングで鍛えにくい上半身の骨も鍛えられるため、弱い部分を重点的にトレーニングすることも可能です。

日光浴をする

強い骨を維持するためには、日光浴も効果的です。

皮膚が直射日光に当たると、体内でビタミンDが生成されます。

ビタミンDは、強い骨を保つために必要な栄養素です。ビタミンDは、骨の主要成分「カルシウム」の吸収をサポートする働きがあります。

屋内で窓越しに日光を浴びても、ビタミンDは生成されません。曇りの日や日陰なども、ビタミンDの生成量が低下します。

日光浴をするために外出するときは、肌トラブルを避けるために日焼け止めを塗りましょう。日光浴ができないときは、サプリメントを活用してみてください。

カルシウムやマグネシウムを摂る

カルシウムは、骨の重要な構成成分です。

カルシウムが骨に取り込まれることで新しい骨が作られ、古くなった骨と置き換えられて骨の強さが保たれます。丈夫な骨を保つためには、十分な量のカルシウムを摂ることが欠かせません。

▼カルシウムの摂取源

・牛乳
・ヨーグルト
・チーズ
・白菜
・ケール
・ブロッコリー

また、マグネシウムは骨芽細胞および破骨細胞の活性に影響を与えます。マグネシウム摂取によって骨密度が高まり、骨が丈夫の保たれることも分かっているのです。

▼マグネシウムの摂取源

・緑色の葉野菜
・マメ科の植物
・ナッツ類
・種子類
・全粒粉

ここで挙げた食材ばかりを偏って食べるのではなく、さまざまな食材をバランスよく食べることが大切です。エネルギーと栄養素を過不足なく取り入れることで、骨を強く保つ効果が高まります。

良質な睡眠をとる

良質な睡眠をとることで、血糖値が安定しやすくなります。

慢性的な不眠症の人は、糖質を上昇させる「糖質コルチコイド」が過剰分泌されるのです。入眠困難や中途覚醒、早朝覚醒などの不眠症状がある人は糖尿病リスクが1.5〜2倍になることも分かっています。

血糖値が高いとインスリンの感受性が下がり、骨がもろくなるので注意が必要です。生活習慣や寝室の環境を整え、良質な睡眠を得られるように工夫しましょう。

骨折予防の鍵は血糖値コントロール!

血糖値が高いと、骨がもろくなるリスクが高まります。

いつまでも自分の足で歩ける身体を保つためには、生活習慣を整えることがとても大切です。血糖値をコントロールすることで、骨粗しょう症だけでなく糖尿病になるリスクも避けられます。

炭水化物や甘い物を食べすぎるのはやめて、野菜や海藻などの食物繊維を意識して摂りましょう。運動が苦手な人は「軽く散歩する」「階段を使う」など無理なく続けられることからはじめてみてください。

この記事を書いた人 医師 山下あきこ

1974年、佐賀県生まれ。二児の母。内科医、脳神経内科専門医、抗加齢医学専門医、医学博士。アメリカ神経学会会員でもある。1999年…

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