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「共感」で免疫力が上がる?免疫力を上げる「共感」の方法とは?

「免疫力を上げること」は、世界的な感染症拡大の中で大きな課題となっています。

免疫力アップのためには、食事や睡眠、運動などの生活習慣を整えることがとても大切です。しかし、「当たり前な対策だけでは物足りない」と感じている人も多いのではないでしょうか?

実は、他人との関わり合いの中に「共感」を持つことで、免疫力を上げる効果があるのです。この記事では、医師がさまざまな研究データをもとに「共感によって免疫力を上げる方法」について解説します。

目次

「共感」とは?

「共感」とは、相手の感情や主張などを自分も同じように感じ、理解することです。

相手のことを評価して理解しようとするのではありません。また、相手の困っていることについて、何かアドバイスを提示するものでもありません。

「共感」で免疫力が上がる

医師が「共感」を強化して診察すると、患者の風邪の治りが早かったというデータがあります。「共感」は、免疫機能の活性化につながるのです。

医師が「共感」すると患者の回復が早い

共感によって、免疫系を活性化させることを示した調査があります。

風邪の患者719人に対し、半数は医師が共感を強調して診察にあたりました。診察後の調査によると「医師の対応に共感を感じた」と答えた患者223人は、免疫機能が高く風邪の治りも早かったそうです。

「話を聴いてもらえる」「共感されている」と感じるだけで免疫機能が上がるとは、驚くべき結果と言えるでしょう。

実は、筆者が医学部時代に臨床実習を行ったときや、卒業研修を受けたときにも「共感」が大切だと繰り返し教わりました。改めて「共感」が免疫機能の活性化につながるというエビデンスを学び、さらに「共感」重要性を実感しています。

「共感」によってオキシトシンが分泌される

「共感」は、する方もされる方も「オキシトシン」の分泌が高まります。

「オキシトシン」とは、脳の視床下部で産生されるホルモンです。「オキシトシン」によって、私たちの心と身体にはさまざまなメリットがあります。

▼オキシトシンの働き

・細胞の酸化を防ぐ
・全身の細胞ダメージを抑える
・痛みを軽くする
・筋肉の再生を促す
・免疫力を活性化する幸福感を上げる

「オキシトシン」は人に思いやりを示したり、親切にしたり、つながりを感じたりすることで分泌されます。医師でなくても共感して話を聴くだけで、大切な人の病気を早く治す効果が期待できるかもしれません。

免疫力を上げるための「共感」方法

「共感」するのは、簡単なようで意外と難しいもの。「大変ですね」「つらかったですね」と上っ面な「共感」をしても、相手の心には響きません。

ここでは、医師が実践する「共感」の方法をお伝えします。大切な相手の免疫力アップや、自信のコミュニケーション能力を高めるためにも、ぜひ「共感」する力を身につけてみてください。

状況を具体的にイメージして入り込む

まずは、相手の状況を具体的にイメージしてみましょう。

相手がどのように感じているのか、苦しんでいるのか、状況や感情にフォーカスしてみます。相手になった気持ちで、見えるものや聞こえる音まで感じるようにしながら、瞬間的に入り込んでみてください。

イメージして入り込むときに必要なのは、具体的な場面化と臨場感です。

どんなときに、どんなところで、誰と、どのように、どんなことが起こったのか。そしてそれをどう感じたのか、相手になったつもりで真剣にイメージしましょう。

言葉の言い回しに気をつける

「共感」するときに注意したいのが、言葉の言い換えです。

相手が大変だと思ってもいないことに「大変ですね」と言ってしまうと、共感できていないことが浮き彫りになってしまいます。「大変じゃないけど……」と相手が違和感を感じたら、心が離れてしまうでしょう。

「共感」するときは言い換えをせず、そのままの言葉を繰り返すことが大切です。繰り返す言葉は、その会話の中で重要だと思えることにしてください。

▼共感するときの「繰り返すあいづち」例

◎良い例
相手:3日前に朝ドラを見てるときから耳に違和感がある
自分:3日前から耳に違和感があるんですね

☓悪い例①
相手:3日前に朝ドラを見てるときから耳に違和感がある
自分:大変だったんですね
(間違った言い換え、大変ではないかもしれない)

☓悪い例②
相手:3日前に朝ドラを見てるときから耳に違和感がある
自分:朝ドラを見ているときからですね
(違和感があり、伝わっていないと感じる)

会話に違和感が生じると、相手の心は離れてしまいます。言葉の言い換えミスは起こりやすいので、とくに気をつけて会話しましょう。

大切な人の免疫力を上げるために「共感力」を鍛えよう

心や身体が弱くなっている人が近くにいるとき、まずは「共感」の態度を示しましょう。

相手の苦しみや痛みを一緒に感じるように、具体的にイメージして入り込むことが大切です。相手の言葉をしっかりと聞き、その話の中で重要なことを「そのまま繰り返す」ことで、相手に「共感」が伝わりやすくなります。

「共感」は簡単にできそうですが、「共感力」のトレーニングを行っている医師でも難しいものです。大切な人の免疫力アップや、コミュニケーション能力向上のためにも、ぜひ意識的に「共感力」を身に着けてみてください。

参考文献:D.P.Rakel, et al,Patient Education and Counseling 2011,85(3),390-7
参考図書:「親切は脳に効く」 デイビット・ハミルトン
この記事を書いた人 医師 山下あきこ

1974年、佐賀県生まれ。二児の母。内科医、脳神経内科専門医、抗加齢医学専門医、医学博士。アメリカ神経学会会員でもある。1999年…

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