職場における感染症対策!会社でクラスターを防ぐ方法はある?
「職場での感染が怖い」「感染症対策をより徹底したい」と考えているのではないでしょうか。
感染症が拡大している中でも、多くの人が会社に通勤しています。テレワークができない仕事なら、職場での感染症対策を徹底するしかありません。
今回の記事では、産業医の経歴を持つ医師が「職場での感染症対策」について解説します。クラスターを防ぐ方法についても紹介するので、ぜひ最後までチェックしてみてください。
目次
職場における感染症の対策方法5選
・不織布マスクを着用する ・手洗いの徹底 ・30分に1回以上の換気 ・湿度を40%以上に保つ ・ワクチンを推奨する |
新型コロナウイルスが流行っているからといって、仕事を止めるわけにはいきません。テレワークができない環境であれば、職場での感染症対策を徹底し、クラスターの発生を防ぎましょう。
不織布マスクを着用する
感染症対策において、最も効果的なのは「不織布マスク」です。
飛沫拡大や吸い込み防止の効果が最も高く、エアロゾルに対しても予防効果が期待できます。布マスクやウレタンマスクでも感染症を予防する効果はありますが、不織布マスクの方がより効果的です。
フェイスシールドやマウスシールド単体では、飛沫を防ぐ効果はほとんどありません。顔が見えるというメリットもありますが、感染症拡大の原因になるので避けたほうがいいでしょう。
手洗いの徹底
シンプルな方法ですが、手洗いも感染症対策には非常に効果的です。
流水で15秒の手洗いだけでも、手洗いなしのときを100%とすると約1%まで減らせます。しかし、できればハンドソープを使って揉み洗いしたあと、流水で15秒すすぐのがより効果的です。
食事の前なら、ハンドソープ10秒揉み洗い後に流水で15秒すすぐのを2回繰り返しましょう。すると残存ウイルス数は数個まで下げられるため、手指に付着したウイルスによる感染リスクを大幅に下げられます。
30分に1回以上の換気と加湿を行う
寒い季節でも、30分に1回は換気をすることが大切です。
数分程度でいいので、窓を全開にしましょう。人数が多い職場はCO2モニターを設置し、1000ppmを超えたらすぐに換気をするのがおすすめです。
また、湿度を40%以上に保つことで感染リスクを下げられます。
職場には、正確に測れる湿度計と加湿器を用意しましょう。加湿するのが難しい場合は、換気の回数を増やすようにしてください。
ワクチンを推奨する
職場では、できるだけワクチンの摂取を推奨してください。
ワクチンの有効性は95%といわれています。ワクチンなしでは100人感染するところ、ワクチン摂取によって5人まで減らせるということです。
人口の70%以上の人がワクチンを摂取し、免疫を持つことを「集団免疫」といいます。集団免疫ができると感染拡大が起こりにくくなるので、既往症を持つ人や諸事情でワクチンを摂取できない人も間接的に感染から守られるのです。
また、ワクチンを摂取することで、感染したとしても重症化や死亡リスクは減少します。万が一職場内で感染者が出てしまっても、より早い回復が見込まれるでしょう。
インフルエンザワクチンも摂取しよう
冬季は新型コロナウイルスの感染再拡大とともに、インフルエンザが流行することも考えられます。
新型コロナウイルスのワクチンを打った人でも、インフルエンザワクチンを重ねて摂取しておくと安心です。
インフルエンザワクチンは、新型コロナウイルスのワクチン接種から2週間以上あけないと受けられません。インフルエンザの予防接種を控えている人は、早めに新型コロナウイルスのワクチン接種を済ませておきましょう。
休憩所と喫煙所のクラスターに注意!
職場でクラスターが起きやすいのは「休憩所」です。
小さな職場では広さの確保が難しく、窓のない休憩所で食事をしているところも多くあります。休憩所でお弁当を食べなければならないときは、できるだけ短時間で、黙って食べるようにしてください。
会話を楽しみながら食事をするのは有意義なことですが、黙って食べることも決して寂しいことではありません。
食べ物に注意を向けてしっかり味わうのは、マインドフルネスな食事方法です。噛む回数が増えて消化がよくなり、料理がいっそう美味しく感じられます。
また、密集した空間でマスクを外す「喫煙所」もクラスターが発生しやすい場所です。喫煙所でも会話は控え、できるだけ短時間で済ませるように注意を促しましょう。
ウイルスは進化している
新型コロナウイルスのデルタ株は、変異前のウイルスに比べて1260倍のスピードで増殖しています。
潜伏期間は従来株よりも短くなっており、平均3日です。感染力や毒性、免疫逃避なども従来株よりパワーアップしています。
新型コロナウイルス変異株は感染力が強くなっている
デルタ株は、従来株よりも感染力が強くなっています。
▼1人が他人にうつす人数 ・従来株…2人程度 ・デルタ株…6人程度 |
ハイスピードでたくさんのウイルスが作られるため、吐き出すウイルスの量も多くなります。6人家族の場合、1人が感染すると全員に映るということです。
「空気感染」に近い状態と認識しよう
デルタ株は飛沫感染の威力が強くなっており、空気感染に近い状態といわれています。
空気感染するウイルスといえば、麻疹ウイルスです。麻疹に罹った生徒が1人いると、黒板の前で吐き出したウイルスは教室の一番うしろの席まで飛んでいく可能性があります。
「密閉・密集・密接」の3密が重ならなくても、どれか1つでも密があれば感染する可能性があるということです。
新型コロナウイルスはこれからも変異し、パワーアップしていく可能性も考えられます。職場での感染症対策もより強化し、クラスターが起こりにくい環境を目指しましょう。
職場での感染症対策を強化しよう
新型コロナウイルスは、変異しながらパワーアップを続けています。
新しい生活様式への慣れや気の緩みで、感染症に対する社員の危機意識が薄れていませんか?変異株が拡大する今こそ、改めて職場からの注意喚起を促すことが非常に重要です。
不織布マスクの着用や手洗いの徹底、換気やワクチン接種などで対策しておけば、感染リスクは大幅に下げられます。職場での感染症対策をより強化して、クラスターが起こりにくい環境を作りましょう。