生理前にイライラするPMDDとは?PMSとの違いや対処法を医師が解説
生理前になると「些細なことでイライラする」「攻撃的になってしまう」など、心の変化を感じることはないでしょうか。
自分で自分を抑えられなくなったり、音や匂いなどの感覚が鋭くなりすぎたり……さまざまな不調が起こるのは、女性ホルモンの変動が影響しているから。
生理前の不快な症状は「PMS(生理前症候群)」として広く知られていますが、「PMS」よりも精神症状が強い場合を「PMDD(生理前不快気分障害)」といいます。当記事では「PMDD」の症状や対処法について解説していくので、生理前の心の不調で悩んでいる方は参考にしてみてください。
目次
生理前のイライラは「PMDD」の症状
生理前になると自分の感情が抑えられなくなるのは、女性ホルモンの変動が心に影響しているから。興奮と鎮静のバランスが取れなくなり、イライラや不安が強くなってしまうのです。
「PMDD(生理前不快気分障害)」とは?
月経の数日前から起こる、精神的に不快な症状を「PMDD(月経前不快気分障害)」といいます。
▼PMDD(生理前不快気分障害)の症状 ・周りに八つ当たりしてしまう ・涙が出てくる ・やる気が出なくなる ・気持ちのコントロールが難しくなる |
生理前から不調が見られ、生理終了に向けて軽くなっていくのが「PMDD」の特徴です。普段の精神状態は普通なのに生理前だけイライラしたり、周期的に不安定になるなら「PMDD」の症状かもしれません。
「PMDD」と「PMS」の違い
「PMDD(生理前不快気分障害)」が「精神症状が主体となる症状」であることに対し、「PMS(生理前症候群)」は「身体的症状も伴う」のが特徴です。精神的症状の深刻度合いは「PMDD」よりも「PMS」の方が軽い傾向にあります。
▼PMS(生理前症候群)の症状 ・下腹部痛や腰痛 ・胸の張りやむくみ ・疲労感 ・肌荒れ ・イライラする ・憂うつ ・感情が不安定 ・怒りっぽくなる ・食欲が変化する ・昼間眠いまたは不眠 ・やる気が出ない |
PMS(生理前症候群)は生理開始3〜10日前から始まり、生理が始まると症状が軽くなっていきます。
症状が軽い場合は生活習慣の改善やリラクゼーションなどのセルフケアできますが、症状が重い場合は投薬治療やカウンセリングなどで治療することも可能です。
「PMDD(生理前不快気分障害)」の対処法
「PMDD(生理前不快気分障害)」を軽くするために、以下のような対処法があります。セルフケアで症状が改善しないときは、専門の医師に相談してみてください、
▼PMDD(生理前不快気分障害)の対処法 ・マインドフルネス ・タンパク質や鉄分を多く摂る ・ビタミンB群の栄養素を多く摂る ・低容量ピルを服用する |
生理前のイライラ改善には「有酸素運動」が効果的
デューク大学のジェームズ・ブルメンタール博士らが行った研究によると、運動が生理前の不調を軽くすることが分かっています。
特にイライラや集中力の低下といった精神症状は、週に3回30分ランニングをしたグループで明らかに改善していたのです。
有酸素運動は「GABA」を増加させる
有酸素運動をすると、鎮静系ホルモン「GABA」の血中濃度が増加して心が安定します。
「PMDD(生理前不快気分障害)」の症状が出る人は、鎮静系ホルモンGABAの血中濃度が低いことが分かっています。有酸素運動で「GABA」を増やすと、自分でコントロールするのが難しい精神症状を緩和してくれるのです。
有酸素運動は「トリプトファン」濃度を上げる
有酸素運動は、血液中の必須アミノ酸「トリプトファン」濃度を増加させる作用があります。
「トリプトファン」とは、心のバランスを整えるホルモン「セロトニン」の材料です。「セロトニン」の分泌が増えることで心が安定して、幸福感が高まる効果が期待できます。
有酸素運動で生理前のイライラを軽くしよう
生理前にイライラしたり、不安になったりするのは女性ホルモンの影響です。
心と身体に症状が出るのは「PMS(生理前症候群)」、精神的な症状が強くでるのは「PMDD(生理前不快気分障害)」といいます。これらは生活習慣の改善や投薬、カウンセリングによってケアできますが、有酸素運動を行うことも効果的です。
有酸素運動をすることで、鎮静系ホルモン「GABA」や幸せホルモン「セロトニン」の材料になる「トリプトファン」が増加します。生理前のイライラや不安感を軽くできるので、ぜひセルフケアの一環として有酸素運動を取り入れてみてください。