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スマホ依存で脳が衰える?人間関係の悪化や肥満の原因にも?

「スマホがないと不安」「スマホが常に気になる」など、スマホ依存になっていませんか?

実は、人との関わりが極端に減っている現代社会において、スマホ依存になる日本人は増えています。理由がなくてもスマホを眺めてしまう人は、自分でも気付かぬうちにスマホ依存になっているかもしれません。

スマホ依存になると脳が衰えるだけでなく、対人関係や肥満の原因にもなるので注意が必要です。この記事では、医師が「スマホ依存による悪影響と対策方法」について解説していきます。

目次

あなたはスマホ依存?

SNSアプリで仕事のやり取りをすることもあるので、多くの人が必然的にスマホを気にしているもの。では、どこからがスマホ依存といえるのでしょうか?

ここでは、医師である筆者が日本人向けに改良した「スマホ依存セルフチェック」を紹介します。自分がスマホ依存かどうか分からない人は、ぜひセルフチェックを行ってみてください。

スマホ依存セルフチェック

アメリカのキンバリー・ヤング博士によって開発された「インターネット依存度テスト」と、韓国情報化振興院で使われている質問項目を参考に、現代の日本人に合わせたチェックシートを筆者が考案しました。

これは診断ツールではありませんが、もし1つでも当てはまる項目があれば「スマホ依存の兆候である」と認識するのに役立ててください。

▼スマホ依存の傾向をセルフチェック

・スマホをお風呂の入り口まで持っていく
・トイレや信号待ちでスマホを見る
・起きたらまずスマホをチェックする
・気づくと長い時間スマホを見ている
・家族や友人と会話するよりスマホ優先
・通知がきたら物事を中断してチェックする
・深夜まで睡眠時間を削ってスマホを見てしまう
・手元にスマホがないとイライラする
・スマホを近くに置いておくと嫌な気持ちが消える
・スマホの時間を減らしたいと常に考えている

日本人のスマホ依存度はインド、韓国に次いで世界3位です。「スマホを1日中使わずにはいられない」と答えた人は、全体の48%でした。

日本人のスマホ使用時間

2018年の調査によると、日本人は1日あたり平均5時間25分ほどスマホを使用しています。

スマホを持ち上げる回数は、1日あたり平均52回とのこと。起きてすぐ、寝る前、夜間に目が覚めたときなど、一番最初にスマホをチェックする人も多いようです。

参考:株式会社テスティーによる全年代の男女686名を対象にしたスクリーンタイムに関する調査結果

スマホ依存によって脳機能が衰える

スマホ依存は、脳機能が衰える原因になるといわれています。スマホ画面を凝視していなくても、近くにあるだけで脳への悪影響があるようです。

スマホが視界に入るだけで成績が下がる

スマホが近くにあるだけで、学生の成績が下がったという調査があります。

スマホを「机に伏せる」「ポケットに入れる」「教室の外に置く」の3パターンに分け、学生にテストを受けさせました。この3パターンで、最もテストの結果が良かったのは、スマホを教室の外に置いた学生です。

スマホの画面を見なくても集中力と記憶力が落ち、学生は成績が下がってしまうことが分かります。スマホは、近くにあるだけで人の意識に作用するのです。

スマホ画面より脳の切り替えの方が遅い

スマホの画面が切り替わるより、脳の切り替えの方が遅いことも分かっています。

仕事中にメールやSNSをチェックして次の仕事に戻ったとき、頭の中はまだやりとりの記憶が残っているのです。見える画面は切り替わっても、すぐに元の仕事に集中できるわけではありません。

仕事中でもメールやSNS、ニュースなどを頻繁にチェックしていませんか?スマホを見るたびに切り替え時間が増えるため、作業に集中する時間は短くなっていきます。

スマホ依存による悪影響

スマホ依存は、私たちの心と身体にさまざまな悪影響を及ぼします。スマホ依存になるとどうして悪いのか認識し、依存を断ち切るきっかけにしてみてください。

食卓上のスマホは対人関係を悪化させる

食事をするとき、テーブルの上についスマホを置いてしまっていませんか?

食卓の上にスマホがあるだけで食事が楽しくなくなり、人間関係が悪化します。

ある実験では「メールが1回来るので、スマホをテーブルに置いて食事をしてください」と指示しました。すると指示を出された人たちは、メールが1回来るだけなのに食事時間の10%もスマホを見ていたのです。

一緒に食事をしている人が10分に1回スマホを見ていたら、一緒に食べている人はどんな気持ちになるでしょうか?相手の意識がスマホに向いていたら、置き去りにされたような感覚になるかもしれません。

家族や友人、恋人と食卓を囲む時間は、お互いの信頼を深める場でもあるはず。しかし、食卓にスマホが置いてあるだけで信頼を失ってしまう可能性もあるのです。

また、スマホを食卓に置いた本人も、食事を楽しくないと感じます。

料理をスマホ撮影すると食事を楽しめない

料理をスマホで撮影することは、悪いことばかりではありません。

食べたものを記録することで、食事改善がしやすくなります。素晴らしい体験を誰かに共有することで、第三者を楽しい思いにさせることもできるでしょう。

しかし、料理をスマホ撮影するのはデメリットがあることも忘れてはなりません。

▼料理の写真を撮るメリット

・食事管理しやすくなる
・美味しいものや楽しい体験を共有できる・
・情報発信をすることで他人に役立つ

▼料理の写真を撮るデメリット

・スマホを取り出すことで食事を楽しめない
・食事相手に不快感を与える

また、美しいものを見るとスマホに記録したくなりますが、写真を撮らないときのほうが記憶に残るという研究もあります。

料理の写真を撮りたいときは、一度周りの状況をしっかり確認してみてください。もし誰かを不快にさせる可能性があるなら、料理を楽しんで記憶を残しましょう。

スマホ画面のブルーライトが肥満につながる

スマホ画面から出るブルーライトを見ると、空腹ホルモン「グレリン」が増加し、満腹ホルモン「レプチン」が減少します。

睡眠不足だと、この傾向はさらに強くなるようです。ブルーライトは睡眠の質低下につながるため、スマホ依存は肥満につながるといえます。

つまり、スマホを見ながら食事をしていると、満腹感が得られずに食べすぎてしまうのです。そして夜遅くまでスマホを見ていると、睡眠不足なので翌日も食欲がおさまらなくなってしまいます。

さらに、夜間にブルーライトを多く浴びると、夜間血糖値が上がるという研究結果もあります。ダイエットのために夜遅くまで情報収集している人は、早めにスマホを置いて寝たほうがいいということです。

参考文献:Morning and Evening Blue-Enriched Light Exposure Alters Metabolic Function in Normal Weight Adults, Ivy N Cheung te al.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27191727/

スマホ依存による脳機能低下を防ぐ方法

スマホを気にしながら生活することで、脳や身体の活動が低下します。スマホが身体に与える悪影響を知り、デジタルから離れる時間を楽しみましょう。

スマホを使わなくても、楽しめることはたくさんあります。

▼スマホなしで楽しめること

・料理
・片付け
・音楽を演奏する
・運動する
・読書する
・絵を書く
・文章を書く
・誰かと語り合う
・犬と散歩する
・ペットと遊ぶ

スマホから離れる活動で、とくにおすすめなのが「自然を感じること」です。

風を感じ、草木や空の色を長め、植物の香りに気づき、五感を使って「いまここ」に集中しましょう。「いまここ」を楽しむことで脳は「気づき」の力が高まり、幸福を感じやすい状態になります。

スマホ依存は脳に悪影響!スマホから離れる時間を作ろう

スマホは、現代に生きる私たちの日常に欠かせないものです。

しかし、かつてはスマホがない時代を普通に生きられていました。今は「スマホがないと不安」「スマホがないと楽しくない」と感じるかもしれませんが、スマホから離れて楽しめることも多くあります。

スマホ依存は脳の衰えにつながり、人間関係の悪化や肥満も引き起こします。ときにはスマホから意識的に離れ、五感を活用しながら「いまここ」を楽しむ時間を作ってみてください。

この記事を書いた人 医師 山下あきこ

1974年、佐賀県生まれ。二児の母。内科医、脳神経内科専門医、抗加齢医学専門医、医学博士。アメリカ神経学会会員でもある。1999年…

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