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睡眠の質を下げる照明の色とは?ブルーライトはメラトニンを抑制する?

「寝室の照明は何色にすればいい?」「スマホやPCの光は睡眠に影響する?」など、睡眠と光の関係について関心が高まっているのではないでしょうか。

睡眠の質を上げてぐっすりと眠るためには「メラトニン」というホルモンの分泌を維持することが大切です。しかし照明やスマホの光によって、「メラトニン」の分泌が抑制されてしまうことがあります。

では、リビングや寝室の照明は何色にすればいいのでしょうか?今回の記事では「メラトニンと光の関係」について解説していきます。

目次

メラトニンとは?

メラトニンは、夜間に分泌されて睡眠リズムを整えてくれるホルモンです。

メラトニンの分泌は明るい光によって抑制されるため、日中はメラトニン分泌が低く、夜間に十数倍増加します。メラトニンが分泌を始めると深部体温が下がり、眠気が強くなって深い睡眠をもたらすのです。

昼間に明るい光を浴びると、夜はメラトニンの分泌量が増加しやすいといわれています。逆に、夜でも強い照明を浴びるとメラトニン分泌量が低下してしまうので注意が必要です。

また、メラトニンは環境光だけでなく体内時計からも調節を受けています。体内時計としてメラトニンが分泌されるのは、朝起きてから約14〜16時間後です。

朝方になるとメラトニンの分泌量が減り、覚醒作用のある副腎皮質ホルモンの分泌します。このことから、良質な睡眠を得るためには環境光と体内時計の両面からアプローチすることが効果的といえるでしょう。

メラトニンの働き

メラトニンは睡眠だけでなく、健康や美容に嬉しい働きがあります。

体温を下げて脳や身体を休息へ導く

メラトニンが分泌されると深部体温が徐々に下がり、身体の活動を沈めて休息へ導きます。

脳を冷やして眠気が強くなり、入眠を促して良質な睡眠をもたらすのがメラトニンの働きです。

メラトニンには催眠作用があるため、欧米では睡眠薬として市販されています。日本でもインターネットで並行輸入でき、寝る前に服用すれば寝付きが若干よくなるようです。

ただし、メラトニンを服用しても不眠症の改善効果は乏しいことが分かっています。不眠症の改善や睡眠の質向上を目指すなら、まずは医師に相談して睡眠検査を受けましょう。

睡眠以外に対する働き

メラトニンは、睡眠を促す以外にもさまざまな働きがあります。

▼メラトニンの睡眠以外の働き

・骨を強くする
・がんを抑制する
・細胞の新陳代謝をよくする
・老化を防止する

メラトニン分泌を抑制する照明

夜間に明るい照明を浴びすぎると、メラトニン分泌を抑制してしまう場合があります。睡眠の妨げになるので、リビングや寝室の照明は明るすぎないものを選びましょう。

青色LEDはメラトニンの分泌を抑制する

メラトニンの分泌を最も抑制してしまうのは、青色LEDです。

福井大学で2008年に発表された論文によると、以下のような結果が示されています。

照明の種類明るさメラトニン抑制率
暗い青色LED12.5ルクス39%
明るい黄色LED225ルクス0%
青色LED+黄色LED237.5ルクス20%

ろうそくの炎くらいの青色LEDでも、リビングの照明くらい明るい黄色LEDよりメラトニン分泌を抑制してしまうのです。他の複数の研究においても、青色の照明はメラトニン分泌を抑制することが実証されています。

青色LEDを日中に見る分には、何も問題ありません。細かいところを鮮明に見るには青色照明が適しているので、オフィスや勉強を行うときには青色LEDを使うといいでしょう。

参考:睡眠・生体リズム障害を緩和する光環境制御技術開発のための研究 |福井大学重点研究

寝る前のブルーライトもメラトニンを抑制する

スマートフォンやPCなどの「ブルーライト」も、メラトニンの抑制効果が強い光です。

夜遅くにスマートフォンやPCのディスプレイを見ると、体内時計がずれて寝付きが悪くなります。少なくとも寝床につく90分前には、スマートフォンを見るのをやめましょう。

どうしても寝る前にスマートフォンやPCを見なければならないときは、ブルーライトカットのメガネを使用するのがおすすめです。メガネをしないときと比べて、メラトニンを抑制しにくいことが示されています。

参考:メラトニンとエイジング

寝室の照明は黄色っぽいライトがおすすめ

リビングや寝室など、夜間に過ごす部屋の照明やは黄色っぽいものを使うのがおすすめです。

照明の色は「電球色・温白色・白色・昼白色・昼光色」の5つに分かれています。電球色が最も黄色っぽく、昼光色が最も青っぽい光です。

できるだけ暖色系の色を選ぶことで、メラトニンの抑制が防げます。体内リズムが整いやすく、良質な睡眠が得られるでしょう。

メラトニンは睡眠を促すホルモン!夜は青色LEDとブルーライトを控えよう

メラトニンの分泌を促すことで体内リズムが整い、良質な睡眠を得やすくなります。

メラトニンは通常、夜間になると働くホルモンです。しかし、夜に「青色LED」「ブルーライト」を浴びるとメラトニン分泌量が抑制されてしまい、睡眠の質が悪くなってしまいます。

リビングや寝室の照明は、できるだけ黄色っぽい色を選ぶのがおすすめです。スマートフォンやPCは寝床につく90分前に見るのをやめて、ブルーライトを浴びないように心がけましょう。

この記事を書いた人 医師 山下あきこ

1974年、佐賀県生まれ。二児の母。内科医、脳神経内科専門医、抗加齢医学専門医、医学博士。アメリカ神経学会会員でもある。1999年…

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