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タバコ・お酒・糖質をやめたいときに知っておきたい脳科学

タバコやお酒をやめたい、あるいは糖質を制限したいけれど上手くいかなかった。このような経験がある方にはぜひ知っておいていただきたい「脳科学」があります。

タバコやお酒、糖質をやめにくいのは、脳にある仕組みが関係しており、その関係を理解し、正しい方向からアプローチすれば克服に近づくのです。

では一体どんな仕組みなのかご紹介しましょう。

目次

依存する脳の仕組み「報酬系システム」

依存とは、たとえば「彼氏がいないと寂しくて仕方がない」「コーヒーを飲まないと落ち着かない」などの状態を指します。タバコやお酒、糖質は特に依存しやすいものなのですが、それは一体なぜなのでしょうか?

依存には「報酬系システム」という脳の仕組みが関係しています。この仕組みはもともと、生きるために食べることを忘れないようにと作られた脳のシステムです。

昔で言うと「狩りが成功したときに快楽を感じる」というのが報酬系システムの仕組みとなります。快楽を感じるためには狩りをしなければいけない、狩りをすれば食物が手に入る、狩りをすれば食べることを忘れない、となるので、「狩り」に対して快楽を感じるシステムになっているのです。

この快楽というのは依存性があるのですが、狩りに依存しても特に体にとって問題とはならず、むしろ生きるためには好都合と言えます。

しかし現代はというと、昔よりも快楽がすぐに手に入るようになったため、依存が起こりやすくなっており、さらには生きることに必要ない快楽も多いのです。

ストレスを解消するために快楽を求め、報酬系システムが働くことにより、タバコやお酒、糖質などがやめられなくなっていくのが現代の問題と言えます。

依存ではストレスは解消しない!逆に増える危険性がある

ストレスを解消するためにお酒を飲んだりタバコをを吸ったりする方は多いでしょうが、依存状態にある場合、お酒やタバコではストレスは解消できません。

その理由には何があるのでしょうか?

依存しているタバコやお酒を吸ったり飲んだりすると、「ドーパミン」と呼ばれる物質が一気に放出され、それによって瞬間的に快楽が得られます。しかし、一時的なものなので、時間が経つとドーパミンは減少してしまうのです。

その結果「タバコを吸う→快楽が得られる→すぐにドーパミンが減ってストレスを感じる→またタバコを吸う」と言った悪循環に陥ります。

さらに依存によるドーパミンの放出を繰り返していると、「セロトニン」と呼ばれる精神を安定させる物質が出にくくなってしまいます。精神が不安定になればイライラしやすくなるので、快楽を求めて依存はより悪化してしまうのです。

依存は物質だけではない!SNSや恋愛、子供への依存も

依存はお酒やタバコ、糖質だけにとどまりません。そのほかにも、ドーパミンを一時的にたくさん放出してしまう依存物質はあります。

たとえば、SNSや恋愛、子供も物質ではないですが依存しやすいものの代表格です。これらに対して依存する原因は、根底にある「思い込み」が関係しています。

子供で言うと、「自分の幸せより子供の幸せを優先すべきだ」と思い込んでいると、子供の成功が親にとっての快楽となり、教育に異常なほど力を入れてしまうのです。

子供が巣立つと快楽が得られなくなるため、ぽっかり心に穴があき、ドーパミンもセロトニンも出なくなるため、何をしても楽しいと感じなくなってしまいます。

SNSや恋愛、子供への依存は身近ですから、誰にでも起こる可能性はあると覚えておきましょう。

依存から抜け出すには内なる幸せに気づく練習を

ではもし依存しそうになったとき、あるいはすでに依存している場合は、どのようにすれば依存しない生活を送れるのでしょうか?

内なる幸せに気づくには、1日の中で幸せを数えるゲームを行うのがおすすめです。

夜寝る前にベッドの中で、1日の中で感じた幸せを数えます。そして前日よりも幸せの数が多ければ、「今日は昨日よりいい日だった!昨日に勝ったぞ」と自分を褒めてあげましょう。幸せとしてカウントする内容は「風が気持ち良かった」「ご飯がおいしく炊けた」など小さな内容で構いません。

そうすると幸せを感じる力が育ち、依存しなくてもドーパミンが放出されるようになります。内なる幸せに気づく行為によって放出されるドーパミンは、放出量がゆるやかなので毎日実践しても依存にはなりません。

ただし毎日やると飽きてしまうと感じるなら、週に1回など定期的に行うだけでも効果はあるので、ちょうど良いペースを見つけましょう。

断ちにくい依存はコツコツ地道に向き合っていく(まとめ)

お酒やタバコ、糖質は、SNSのように思い込みの要素も絡んでくるもので、さらに身近であることから、依存を断ちにくい傾向にあります。

もし上手く断ちきれないなら、内なる幸せに気づく練習をしながら、まずは短い期間から経つ練習をしてみましょう。自分と向き合って思考に気付き、依存と付き合っていくことが大切です。

この記事を書いた人 医師 山下あきこ

1974年、佐賀県生まれ。二児の母。内科医、脳神経内科専門医、抗加齢医学専門医、医学博士。アメリカ神経学会会員でもある。1999年…

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