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ケトン体とは?糖質制限をしてもエネルギーが枯渇しない理由

「糖質制限」「ロカボ」などの言葉が広まり、糖質を控えることの重要性が知られるようになりました。

ダイエットやボディメイクに取り組んでいる方なら「ケトン体」という言葉も聞いたことがあるかもしれません。「糖質制限」に取り組むなら、「ケトン体」について知識を深めておくことも大切です。

そこで当記事では、医師の山下あきこが「糖質制限とケトン体」について分かりやすく解説します。

目次

ケトン体ってどんなもの?

糖質制限をすると、私たちの脳や身体に必要なエネルギーが足りなくなります。そんなときに代替エネルギーとして働いてくれるのが「ケトン体」です。

ケトン体は中性脂肪から作られるエネルギー

「ケトン体」とは、脳や身体の多くの組織がエネルギーとして使える物質です。

糖質制限をしてエネルギーが足りなくなったとき、私たちの体内では中性脂肪から「ケトン体」を作り出します。つまり、糖質制限をすると中性脂肪が消費されるということです。

糖質より脂質の方がエネルギー効率がよい

脳のエネルギー源である「ブドウ糖」からは、36個のエネルギー物質が作られます。

それに対し、「脂肪酸」からつくられるエネルギー物質は129個です。このことから、糖質よりも脂質の方がエネルギー再生効率が3倍近くすぐれていると考えられるでしょう。

脳の栄養「ブドウ糖」は必ずしも食事から摂る必要はない

「ブドウ糖」は脳がエネルギーとして利用できる唯一の物質です。

しかし、必ずしも食べ物から「ブドウ糖」を摂らなければならないわけではありません。なぜなら、「ブドウ糖」が足りなくなったら、肝臓や筋肉から必要な「ブドウ糖」を産生できるからです。

そのため、糖質制限をしても脳のエネルギーが足りなくなることは考えにくいでしょう。むしろ、糖質の摂りすぎると余った「ブドウ糖」が脂肪細胞に蓄えられるため、肥満や生活習慣病につながるリスクが高まります。

ケトン体には抗酸化作用がある

ケトン体には抗酸化作用があり、さまざまな病気を予防する効果が期待できます。

▼ケトン体によって予防できる病気

・肥満
・糖尿病
・がん
・アルツハイマー病
・その他

一方、糖質の摂りすぎは上記の病気リスクを高めることが分かっています。このことから、多くの人にとって糖質制限はメリットが多い食事法といえるでしょう。

ケトン体を増やす方法

太りにくくて疲れない身体を作るためには、「ケトン体」を増やすことが大切です。ここでは「ケトン体」を増やすために効果的な食事法を解説します。

糖質を控えめにする

「ケトン体」を増やす方法として、まず取り組みたいのが糖質制限です。

ご飯やパン、麺類などの主食を食べすぎないようにしましょう。また、お菓子や甘い清涼飲料水など、普段何気なく摂ってしまっている嗜好品を控えることも効果的です。

中鎖脂肪酸が豊富な脂質を摂る

中鎖脂肪酸を摂ることで、ケトン体産生が誘導されることも分かっています。

▼中鎖脂肪酸を含むもの

・ココナッツオイル
・ココナッツミルク
・青魚
・アマニオイル
・バター
・ナッツ

上記の他にも、良質な脂質を摂ることでケトン体が作られやすくなります。ダイエット中だからといって脂質は控えすぎず、良質な脂質はむしろ積極的に使うとよいでしょう。

タンパク質を多く摂る

「ケトン体」を効率よく増やすためには、タンパク質を摂ることも大切です。

肉や魚、卵や大豆などを食事に多く取り入れてみてください。

タンパク質はケトン体を増やすだけでなく、健康と美容をキープするために重要な栄養素です。筋肉・臓器・皮膚・毛髪などを構成し、ホルモン・酵素・抗体などの身体を調節する機能を保つためにも役立ちます。

ファスティングに取り組む

「ケトン体」を増やすためには、ファスティングも効果的な方法です。

ただし、ファスティングは「ただ食べない」わけではありません。断食期間の前後に「準備」「回復」の期間を作り、徐々に身体を慣らしていくことがとても大切です。

はじめてファスティングに取り組む場合は、専門家の指導を受けながら安全に行いましょう。

ケトン体は中性脂肪から作り出されるエネルギー

糖質制限をすると「エネルギーが足りなくなるのでは?」「脳の働きが悪くなるのでは?」と心配される方もいらっしゃるのではないでしょうか。

しかしエネルギーが足りなくなったら、中性脂肪から「ケトン体」というエネルギーを作り出せます。脳が必要とする「ブドウ糖」も、肝臓や筋肉から必要量を作り出せるので心配ないのです。

糖質の摂りすぎは脂肪の蓄積を招き、肥満や生活習慣病などのリスクを高めます。健康的なスタイルや疲れにくい身体を作るために、糖質を控えた食生活を心がけましょう。

この記事を書いた人 医師 山下あきこ

1974年、佐賀県生まれ。二児の母。内科医、脳神経内科専門医、抗加齢医学専門医、医学博士。アメリカ神経学会会員でもある。1999年…

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