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自然欠乏症候群って?自然に触れてストレスを溜めない方法を知っておこう

最近自然に触れていますか?子どもの頃は公園で遊んだり、海や山へ行ったり、自然の中で過ごす機会もありましたよね。

実は、わたしたち人間にとって自然と触れ合うことはとても大切なことなのです。

今回は自然が与えるうれしい影響や、「自然欠乏症候群」についてご説明していきます。

目次

自然欠乏症候群って?自然と触れ合う機会が少ない人に起こることとは

では、まず「自然欠乏症候群」についてご説明していきます。

自然との触れ合いが少ない人ほど精神的・身体的な問題を抱えやすい

自然欠乏症とは英語では「Nature Deficit Disorder」といい、イギリスやアメリカでも2,005年頃から注目を集めているワード。

その中でもイギリスでは、自然との触れ合いが少ない子どもほど、精神的・身体的な問題を抱える傾向があることが指摘されていました。

また、そうした子どもたちを自然の中で遊ばせる取り組みをした結果、症状が改善されたと報告されています。

12歳までにこんな経験をしたことがありますか?

英国ナショナル・トラストは自然欠乏症にならないための「12歳までにしておくべき50のこと」をリストアップしています。下記はそのうちの15個ですが、ぜひチェックしてみてください。

12歳までにこんな経験をしましたか?

 1.大きな丘を転がり落ちる
 2.屋外でキャンプする
 3.タコあげ
 4.イカダを作る
 5.裸足で外を歩く
 6.変わったキノコを探す
 7.網で魚をとる
 8.雲を観察する
 9.日の出を見る
 10.泥で何かを作る
 11.虫と仲良くする
 12.カタツムリ競争をする
 13.洞窟探検する
 14.石で水切りする
 15.蝶を育てる

現代の子どもたちは昔とは異なり、多くの場合は大人が機会を与えないとこのような自然と触れ合う体験をできません。またあわせて、大人も同様に自然に触れる機会が減っていることに気づいたはず。

ヒポクラテス「人間は自然から遠ざかるほど病気に近づく」

医学の父と呼ばれているヒポクラテスは、2,500年前のギリシャですでに「人間は自然から遠ざかるほど病気に近づく」という言葉を残しています。

今よりも文明が発展していなかった時代でも、自然から遠のくことで病気になりやすいことがわかっていたのです。

自然と一概に言っても、食事内容や環境汚染、運動量、概日リズム、電化製品の影響など、さまざまの要因が絡みます。そのため、どのように体に影響するのかを述べるのは簡単ではありません。

しかし、がんや生活習慣病、うつ病など、昨今問題になっている病気の多くは都会での生活パターンが影響している報告が多いのは確かだと言えます。

田舎暮らしはがん罹患後の再発率が低い

がんに関しては、数年前は病院から距離のある田舎では死亡率が高いとされていました。もちろん、早期発見・早期治療の観点から考えると病院の多い都会の方が良いかもしれません。

しかし、最近の海外研究によると田舎暮らしの方ががん罹患後の再発率が低いという結果が出たのです。そのため医学会でも、自然環境が健康に与える良い影響に注目が集まっています。

大人も気を付けたい「自然欠乏症」

最近「体がだるい」「気力がわかない」「眠れない」などのお悩みはありませんか?このような症状は実は自然欠乏症が原因かもしれません。

大人版「自然欠乏症セルフチェックリスト」

では、下記のチェックリストを見ていきましょう。

  • 日の出と日没を意識している
  • 自然素材の住宅に住んでいる
  • 静寂さや自然の音などを感じている
  • 自然の香りを実感しやすい環境にいる
  • 自然素材の衣服を着ていることが多い
  • 携帯電話やPCなどに接することは少ない
  • 長時間の自動車運転やヘッドホンは使用していない
  • 自然食を摂取し、化学薬品は摂っていない
  • 主に自然水を飲料水としている
  • 食休みをして、ながら食いはしていない
  • 電気毛布や電子レンジなどは使用していない
  • 森林浴・海水浴・日光浴などをしている
  • 1日の中で土や砂浜、芝などの上を歩いている
  • 人や動物との肌のふれあいや温もりを与え合っている
  • 四季を意識した食事や行事を生活に取り入れている

いかがでしたか?

チェックをしてみて、

チェック4以下:自然欠乏症候群
チェック5~9:自然欠乏予備軍
チェック10以上:自然充実

当てはまった項目が少ないほど自然欠乏症である可能性があります。

大人が自然を取り入れるコツって?

そうは言っても忙しい毎日を送っていると、自然と触れ合う機会をつくるのはなかなかむずかしいですよね。

そんなときはちょっとした休憩時間に公園などの緑や水、太陽の光を感じるような場所を散歩したり、水音や鳥の声などの音楽を聴いたり、家の中に観葉植物を置くこともおすすめです。時間が取れる方は休みの日に森林セラピーに出かけるのも良いですね。

自然と触れ合って健康的な体を維持しよう

病気と自然は一見つながりがないように思えますが、昔より自然に接する機会がグンと減った現代ではこの2つには深い関係があると言えるでしょう。

子どもだけでなく、大人も自然に触れ合うことで悩んでいる症状が改善されるかもしれません。今日からぜひ、日常の中に少しずつ自然を取り入れてみてくださいね。

この記事を書いた人 医師 山下あきこ

1974年、佐賀県生まれ。二児の母。内科医、脳神経内科専門医、抗加齢医学専門医、医学博士。アメリカ神経学会会員でもある。1999年…

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