「https://mindful-health.co.jp/info/wp-content/uploads/2021/09/喫煙.jpg」のアイキャッチ画像 タバコは日々のストレスを増やす?喫煙がもたらす悪影響とは

タバコは日々のストレスを増やす?喫煙がもたらす悪影響とは

イライラしたときや気持ちをリセットしたいときに「ちょっと一服」とタバコが毎日の習慣になっている人も多いですよね。

しかし、その喫煙習慣が実は余計にストレスを増加させているとしたらどうしますか?

今回は喫煙による体への影響、また禁煙成功へのアプローチをお伝えしていきます。

目次

喫煙が体に及ぼす影響とは

では、まず喫煙による健康への影響をご説明します。

タバコは嗜好品でなく、依存性商品

タバコは嗜好品と位置付けられていますが、依存性商品であると言えます。

「好きでタバコを吸っている」「その気になればいつでもやめられる」という人も依存であることは間違いありません。

香りや使用感が全く同じでもニコチンを含まないものでは満足できないことがその証拠です。

ニコチンの依存性を高めているのがタバコ

ニコチンが急速に吸収されるようにアンモニウム化合物で加工し、依存性を高めているのがタバコです。単に、タバコの葉っぱを紙で巻いただけではありません。

また、依存度の高さにおいて、ニコチンはほかの依存性のあるものと比べても最高レベルです。

使用した人が依存になる確率は、


ニコチン32%
ヘロイン23%
コカイン17%
アルコール15%

と報告されています。

禁煙できない…その理由は脳にあった?

禁煙にチャレンジしようと思っても、よく挫折してしまった…という声を聞くこともあります。ではなぜ「いつでもやめられる」と思っていたタバコをやめられないのでしょうか?

ニコチンはドーパミンを過剰に放出させる物質だから

やる気や快楽をもたらす、ドーパミンというホルモンがあります。甘いものなどを食べると幸せな感覚を覚えますが、これは脳の報酬系システムが働いてドーパミンが放出されるからです。

喫煙も同じ報酬系システムが働いていて、特にニコチンはドーパミンを放出させるスイッチである受容体にくっつき、過剰にドーパミンを放出させるのです。

「HALT」と呼ばれる4つのトリガー

H:HUNGRY(空腹)
A:ANGRY(怒り)
L:LONELY(寂しさ)
T:TRIED(疲労)

これらの頭文字をとって「HALT」と呼ばれるトリガーは、アルコール依存や薬物依存でよく用いられる言葉。喫煙もこの「HALT」がトリガーとなるため、このような感情を覚えるとついタバコに手が伸びてしまうことにつながるのです。

タバコは日々のストレスを増加させる

タバコを日常的に吸っていると、数秒でホッとする感覚を味わい、「ストレスが軽くなった!」と感じることはありませんか?

しかし、これはニコチンを補うことでドーパミンを放出させた一時的なもの。

ニコチンが切れると不安、イライラ、体調不良の状態になりストレスを感じてしまうので、またタバコを吸ってしまうのです。

そのためストレスをタバコが軽くしているのではなく、タバコを吸っているせいでニコチンが切れてくるので、その度にストレスを感じます。

タバコを吸っている人は、吸う前のイライラ状態がタバコ切れのせいだとあまり自覚していないことがほとんど。日常生活のストレスをタバコが癒してくれていると感じてしまう傾向がありますが、実はタバコがストレスの原因を作り出していることに気づくことが大切です。

ニコチンは幸せホルモンも枯渇させる

さらに、厄介なことにニコチン依存になってしまうと、「幸せホルモン」と呼ばれているセロトニンも分泌されにくくなります。

タバコによってドーパミンが過剰分泌されると、ブレーキをかけて調和を保つためにセロトニンが分泌されます。そのため、毎日喫煙すると受容体の感受性が弱まってしまい、セロトニンが枯渇する原因になるのです。

禁煙を成功に導くには多面アプローチが大切

ダイエットでも「〜するだけ」の単純なダイエット法よりも、多面的なアプローチが有効であることが実証されています。

関連記事:https://mindful-health.co.jp/info/?p=140&preview=true&_thumbnail_id=151

禁煙も同じように多面的なアプローチが有効です。

禁煙をしたい方、今まで禁煙にチャレンジしたけど失敗してしまった方は以下の項目を取り入れてみてください。


1.マインドフルネス
  喫煙前後の気持ちや思考、体調を観察
  ありのままの自分を受け入れる
  トリガーに気づき、喫煙スイッチから離れる
  自分に合う方法を見つける
2.栄養
  糖質を控えめにし、前頭葉の働きを安定させる
  たんぱく質とビタミンB群で疲れを防ぎ、セロトニンを出やすくする
3.運動
  筋トレでドーパミン、有酸素運動でセロトニンを増やす
4.睡眠
  質の良い睡眠で、日中のイライラを減らす
5.ポジティブ心理学
  セロトニン分泌に役立つ行動を取り入れる
6.コミュニケーション
  自分のタイプを知り、失敗しやすいシチュエーションを知っておく
  ほめてもらう
  仲間と一緒に禁煙チャレンジする
7.習慣化
  記録する
  一回の失敗で禁煙をやめない
  3ヶ月はトリガーに近づかない
  始める1ヶ月以上前から多くの人に宣言する

依存症からの脱却には、準備が必要です。

まず脳の働きを知ってコツを押さえ、思い込みや思考のクセなどに気づいて自分にあったやり方で進めることが成功の秘訣と言えます。

ニコチンがストレスを増加させる!多面アプローチで禁煙に取り組もう

タバコは依存性のある商品のため、自分自身の意志の力や自己流のやり方では失敗しやすいのです。そのため、会社や家族ぐるみで禁煙する人を応援することも大切。

また、自分が取り入れやすい多面的なアプローチを日常の中で行って、禁煙成功へ歩んでいきましょう!

この記事を書いた人 医師 山下あきこ

1974年、佐賀県生まれ。二児の母。内科医、脳神経内科専門医、抗加齢医学専門医、医学博士。アメリカ神経学会会員でもある。1999年…

関連する記事