食事で脳の萎縮・認知症を防ぐ?和食が健康食としておすすめな理由を解説
年齢を重ねるにつれて気になる「脳の老化」。とくに「脳の萎縮」が起きてしまうと、認知症にもつながることも。
しかし、脳の萎縮はどう予防すれば良いかわからないという人も多いのではないでしょうか。
今回は「健康的な食事が脳の萎縮を防ぐ」という最新の論文をもとに、食事で脳の萎縮を防ぐ方法をお伝えします。
目次
健康的な食事は脳機能を維持&増強させる
今回ご紹介する論文の研究責任者であるMeike Vernooij氏は、「健康的な食生活は、脳機能を維持して増強するのに有効だという可能性がある」と述べています。
それはどうしてなのか?研究内容をわかりやすくご説明します。
出典論文:Croll PH, et al. Neurology. 2018 May 16.Epub ahead of print
脳の容積が大きいのは〇〇を摂取、制限した人
オランダに住む4,213人を対象にした研究で、
- 野菜
- 果物
- ナッツ
- 魚
を多く含み、砂糖を含む飲料を制限した食事をしている人は、そうでない人に比べると「脳の容積が大きい」ことが明らかになりました。
ほかにも、地中海食と呼ばれる
- 野菜
- 果物
- ナッツ
- 豆類
- 全粒粉
- ヨーグルト
- 魚
- 赤ワイン
などを含む食事の組み合わせに置き換えて検証を行なっても同じような結果が得られたのです。
脳の容積が大きいと思考力や記憶力、認知能力が優れている
脳の萎縮の原因はさまざまですが、加齢やアルコール摂取によって萎縮することがわかっています。
脳の萎縮はどんな状態なのか、イメージがつきにくいかもしれませんが「脳の容積が減少」している状態を指します。
そして、これまでの研究でも脳の容積が大きい人は思考力や記憶力、認知能力が優れていることがわかっているのです。そのため、認知症の中でも脳の萎縮が見られるアルツハイマー型認知症にならないためには、普段の食生活から気を配る必要があると言えます。
健康的な食品の組み合わせが脳の健康につながる
では、脳の容積を大きく保つためにはどんな食事内容にすれば良いのでしょうか?
和食は世界からも注目される素晴らしい健康食
わたしたち日本人が生まれたときから口にしている和食。実は和食は健康食として、世界的に注目されるほど素晴らしい食事の組み合わせなんです。
とは言え、これは現代の和食ではなく、「元禄時代以前」の食事内容を指しています。
元禄時代は無精製穀物を主食としていた時代
元禄時代の食事と言われてもすぐに思いつく人は少ないかもしれませんね。
この時代、1,700年頃の日本では現在のような精米技術がなかったため、白米を食べていなかった時代です。
そのため、
- 玄米
- あわ
- ひえ
- 麦
などの無精製穀物を主食としていました。
このような穀物類は精製することで、
- 食物繊維
- ミネラル
- ビタミン
- 酵素
のような貴重な栄養素が失われてしまいます。そのため、元禄時代の日本人は、無精製の穀物を食べることで豊富な栄養素を摂取できていたと考えられるのです。
調理法も生・茹でる・煮る・焼くが基本
食事内容だけでなく、調理法も現代とは全く異なります。今のように炒めたり揚げたりするような料理は上流階級の特別な料理として振舞われるくらいで、庶民が口にすることはありませんでした。
実は、炒め物や揚げ物を一般の人々が食べるようになったのは明治時代中期頃から。長い歴史から考えると最近のことなのです。
漬物、魚介類、旬の野菜の摂取が減少
炒め物や揚げ物、白米などが食卓の定番になってくると、昔からある漬物などの発酵食品の出番も少なくなってきました。
また、肉食文化が根付いたことにより魚介類の摂取も減少。野菜も季節に関係なく栽培できるようになったため、旬のものを食べる習慣も減ってきています。
脳の萎縮を防ぐなら元禄時代の食事内容を参考に!
健康のためにも食事の見直しを行うことはとても大切。
健康食と言われるとむずかしくて取り入れづらいと感じる方も多いかもしれません。
そんなときは今回紹介した元禄時代の食事を参考に、精製されていない穀類、旬の野菜、魚、発酵食品を取り入れ、「生・茹でる・煮る・焼く」といったシンプルな調理法に変えてみてはいかがでしょうか。
参考文献:(Croll PH, et al. Neurology. 2018 May 16.Epub ahead of print)