お知らせ

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2020.05.14 メルマガバックナンバー vol.36:香りと記憶の密な関係

2019.12.4配信

「お線香の香りを嗅ぐとおばあちゃんの家で過ごした幼い頃の1コマを思い出す」
そんな、香りをきっかけに思い出が鮮やかによみがえった経験はありませんか?

記憶と嗅覚は強固な結びつきを持っていることが数々の研究で明らかになっています。
実はアリストテレスは紀元前4世紀に「匂いによって呼び起こされた記憶はそのほかの記憶よりも詳細で鮮明である」と述べています。
これには解剖学的な理由があります。香りを感じる嗅神経は、ほかの感覚神経と違って別の中継地点を介さずに直接鼻腔につながっています。鼻腔から伝えられた信号は嗅神経の根の嗅球につながり、そこから記憶や感情に関わる海馬や扁桃体に信号を送っているのです。
近年も嗅覚と記憶に関する研究は多く行われ続けています。

今回は香りと脳の働きに関する研究をいくつかご紹介します。

香りを思い出にタグづけしている
2009年にイスラエルの脳科学者が行った研究では、被験者にある写真を見せて香りと音を関連づけて覚えてもらいました。
同じ人に2回目は違う香りと音を結び付けて覚えてもらいました。そして1週間後にテストを行い、写真を見てどの香りと音が思い浮かんだかを聞いたところ、2回目より1回目で関連づけた匂いや音を思い出す方が多かったのです。
そして、MRI画像では2回目より1回目の香りを嗅いでいる時の方が、記憶に関連する海馬の領域の活動が活発になっていました。音に関しては、1回目と2回目で海馬の活動に変化は見られませんでした。
この研究結果から、1回目に嗅いだ香りを写真と関連づけて脳にインプットする傾向があることが分かります。

香りを嗅いで思い出す事柄は10歳以前のことが多いことが別の研究で明らかになっていますが、幼い頃に初めて嗅いだ香りとその時の光景が、感情と共に詳細に記憶に残っているのだろうと推測されます。
N.Sobel, 2009, Current Biology, The privileged brain representation of first olfactory associations.

楽しい気分になる香りの方が脳活動を活発にする
2004年の研究では、楽しい気分になると感じる香水とそうでない香水を使って、脳活動を調べました。
その結果、楽しい気分になる香水を嗅いだときには、情動に関連する領域と記憶に関連する領域の両方の活動が高まっていることが分かりました。別の香水では反応が見られませんでした。
自分が心地よいと感じる香りを嗅ぐことで、脳は活性化する可能性が示唆されています。

嗅覚は鍛えられる
アルツハイマー病、うつ病、パーキンソン病では嗅覚が低下します。パーキンソン病では病気が発症する何年も前から嗅覚が落ちています。うつ病では香りが分からないから病気になるという説があります。私の患者も鼻の手術を受けた1ヶ月以内にうつ病を発症しています。
しかし、最近の研究では脳神経の密度は増やすことができることが分かっています。
交通事故で嗅覚を失った症例では、様々なスパイスを嗅ぎ分けるトレーニングを行い見事に嗅覚が復活しました。
香りに気づき、感じることを意識する生活を送るだけで、嗅覚が鍛えられます。

日々の暮らしの中で香りを楽しんで脳を活性化し、認知症やうつ病を予防して、感情豊かな人生を送れたらいいですね!

 
 
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